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ネット利用者9億!中国デジタル事情解説

中国のデジタル事情と言えば、キャッシュレス、ダブルイレブンに象徴されるECでの爆買、お弁当から生鮮食材まで届く発達したデリバリ網、コロナ下で活用されている個人個人の健康管理システム、防犯カメラとAI顔認証システム等々、ご紹介したい点は色々あるが、今回は基本的なデータを紹介したい。

まずはネット利用者が何人いるか、ご存知だろうか。日本の場合はネット普及率が高いので、人口に近い人数がネット利用者と予想できるが、中国のデータを見てみよう。

中国インターネット人口

人工

2020年3月時点で9億人を越えている。ざっと日本の9倍である。

注目したい点は普及率である。なんと普及率はまだ64.5%であり、あと約4.5億人の伸びしろがある点だ。グラフを見てわかるとおり、ネット人口は右肩上がりで増え続けており、ここ数年は同様の伸び率で推移するものと思われる。改めて中国の大きさがデータからわかる。

続いてネットにアクセスするためのデバイスは何を使っているかを紹介する。

スマホインターネット人口

モバイル人口2

スマホでのネット人口は年々増え続け約9億人に到達している。ネット人口とほぼイコールでありネット利用者の99.3%がスマホでもアクセスしている結果となった。10年間で約倍の伸び率となっている。

筆者が上海に住み始めたのは2008年10月。

あの頃は3Gが普及しきっていない時期で3G対応の端末も少なかったのを記憶している。スマホは普及しておらず一部の人がiPhone3を持っていた。iModeのような便利なネットサービスも無く電話機として使っていた。その後、日本で言うガラケー時代を飛ばしてスマホが普及しはじめ、WeChatやWeiboが広がり、近年は様々なサービスがスマホで完結するようになった。もはやスマホが無ければ生活が難しいくらい生活のインフラとして定着している。

続いて他デバイスの状況を見てみよう。

インターネット接続デバイス

端末

先に紹介したがスマホが圧倒的1位で、続いて縦置きPCがくるが2018年と比較して割合は落ち込んでいる。他、ノートPC、タブレットともに落ち込んでおりスマホ一人勝ちの様相である。テレビに関しては利用者が伸びている。インターネットに接続されるテレビは知能テレビ(スマートテレビ)と呼ばれており、テレビを供給するメーカーがコンテンツも供給している。例えば小米(シャオミー)のテレビを買えば、こんな映画も無料で見れると言った具合だ。

筆者は毎年2回CNNICから発表される中国のインターネット事情(インターネット白書のようなデータ)を6年ほど前から纏めているが、毎年スマホ普及率が伸び、PC関連が落ち込み、今に至っている。2010年頃のデジタルプロモーションといえば、PCを前提としたキャンペーン等が主流でスマホは二の次という扱いだったが、今は完全にスマホファーストであり、コンシュマー向けのプロモーションではPCのコンテンツを用意しないことも多々ある(PCからのアクセスの場合はQRコードを表示してスマホから参加頂く)。B2BだとPCからのアクセスが多い場合もあるが、スマホを外してはいけないとデータからも説明がつく。

続いて年代別の利用状況を見てみよう。

年代別利用割合推移

画像4

この表を見て何を感じるだろうか。

一般的にインターネットは若者中心という前提が筆者にはあった。が、データを見ると、その考えは既に古いと気がつく。2年前まではそう言っても過言では無かったが2020年の最新データは、10代〜40代までほとんど差が無く分布していると言える。40代をターゲットしたコミュニケーションでデジタルを使うことが以前は割高だったが今は可能になってきたとも言える。また、50代以降の利用者も年々伸びている点にも注目したい。

利用しているネットサービス

アプリ

利用されているサービスでは即時通信(チャット)が1位。2位と3位が動画サービスな点は中国の特徴を良く表している。大きく伸びたサービスはオンライン教育と生放送である。オンライン教育はコロナの影響で学校の授業がオンライン化された点が大きいと予想できる。中国の対応は早く、3月には学校がオンライン化されていたと記憶している。生放送は番組の生放送というよりライブコマース(生放送のテレビショッピング)だろう。買い物をする際に生放送を見てから買うというのが中国では一般的になりつつあり、ECサイト内の施策においても生放送での販売を中心とすることが増えている。ライブコマースに関しては、マガジンの別記事で纏めているので参照して欲しい。

日本で利用されているネットサービスと比較してみた。日本のデータと中国のデータが違うので項目として合っているものだけ算出した。なお日本のデータは2019年のものである。

利用されているサービス 日中比較

アプリ日中

注目したい点としては動画閲覧である。中国では動画をスマホで見るのが当たり前のように浸透しており、テレビで見るドラマや映画もスマホで見ている。筆者は毎日地下鉄に乗っているが多くの人が動画を見ている。TikTokのようなショートムービーを見ている人も多い。

また、ゲームやオンライン教育は日中で利用状況に大きな差がある。ゲームに関しては日本人も大好きだがNintendo Switchなどゲーム機で遊んでいる人も多いので、差が開いたものとも思われる。オンライン教育は中国のデータが2020年3月のものなので差が大きく開いているが、それを考慮しなくても倍近い差がある。

最後にネットの利用時間を見てみよう。

週あたりのネット利用時間 日中比較

利用時間

ネット利用時間は日中で倍近い差があり中国の方が長い時間ネットに触れていることがわかる。生活インフラとしてスマホが浸透しており、至るところでスマホを活用しているのも数字を上げた一因として考えられるが、それでもネットへの依存性は中国の方が高そうだ。


最後におさらいとしてポイントを纏めておこう。

1.ネット人口は9億人と巨大ながら大きな伸びしろがある成長市場である

2.10代〜40代の利用率に大きな差は無い

3.ネット利用はスマホからが圧倒的に多く、動画コンテンツが好まれる

4.ネットが生活に浸透しており、今後もIT化が加速していくと予想される


今回は中国のインターネット事情を紹介したがいかがだっただろうか。

今後もデータと向き合いながら中国市場を読み解いていきたい。


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参考文献:
CNNIC 2020年第45次中国互联网络发展状况统计报告
総務省 令和2年情報通信白書

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ライター:佐々木 真弥

KEMBOホームページ:http://kembo-net.com

お問い合わせ:info@kembo-net.com

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