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「ご冥福をお祈りいたします」が言えない

そのニュースを見たのは、仕事からの帰り、電車に乗る前、Twitterで流れてきたネット記事。
大好きなバンドと、そのメンバーと、死去という文字。
この文字の羅列が成す意味が理解できなかった。
退勤者でごった返す駅なのに、電車も到着してるのに、何の音も聞こえなくなってしまい、数十秒間、全てが無の時間になった。

理解ができず、「sumika」「じゅんちゃん」で検索してしまった。私と同じように驚きの気持ちが溢れるコメントが沢山流れていた。たまに「ご冥福をお祈りいたします」「お悔やみ申し上げます」なんて言葉もあった。その言葉で、ああ、受け入れている人たちもいるのだなと、現実味を少しずつ感じ、思わず身震いしてしまった。

私は2日経った今も、受け入れられず、ネットニュースをいいねすることも、ご冥福も祈ることも、お悔みも申し上げることもできていない。

あまりの驚きと現実味のなさに、涙することさえできていなかったけど、ふと先ほどシャッフル再生で流れてきたリグレットのサビが、頭にどストレートに流れてきて、涙腺が崩壊してしまった。出先なのに。

失恋の曲なのに、そのサビのフレーズ1つ1つが、突然いなくなってしまった、この曲の作曲者に対する思いを代弁してくれた。
本当にそうなのだ、彼にとっては同じライブ会場にいた沢山の聴者の内の1人である、ただの他人である私から、「君の音を聴かせてよ」なんて、言われる筋合いはないと思うけど、音楽の場でしか繋がれなかった私から伝えられる、何よりのお願いだったんだ。どうか、生きていてほしかったんだ。

SNSの更新がまめなsumikaなのに、あの例のお知らせ以外は無言を貫いている一方で、周りが勝手に死因は何だとか、ああだこうだ言って、デマや推察のコメントを垂れ流している。ずっと前から知っていたけども、ああ、これがSNSなんだと思った。心が辛くなり落ち込んでしまい、そっと検索履歴を消し、今は検索することをやめた。


きっと明日には、いつも見ている朝のニュース番組でも取り上げられて、きっと現実を突きつけられるだろう。耐えられるとは思えない。きっと当分毎日無理だ。
きっと通退勤の時には、ウォークマンのシャッフル再生でsumikaが流れてくるだろう。そのたびに酷く落ち込んでしまうだろう。
それくらい、4人が3人に減るっていうことは、とても大きくて悲しくて辛い出来事なんだ

あぁ、じゅんちゃん。
初めて聴いたsumikaの曲は「ふっかつのじゅもん」で、あなたのインパクトのあるサムネに釣られてクリックしたんだ。sumikaに出会わせてくれたのはじゅんちゃんだと言っても過言ではない。

あぁ、じゅんちゃん。
sumikaで一番好きな曲は「rem.」なんだ。ずっっっとライブで聴きたいと思っていた。sumikaに出会って好きになってから、欠かさずにライブ参戦してたのに、今日まで生で聴くことはできなかった。
とても悲しいけれど、それでも大切な曲には変わりない。これからも大切に聴き続けさせていただきます。

あぁ、じゅんちゃん。嘘だと言ってくれ。



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