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本の話 ベニスの商人
「ベニスの商人」
正義感の強い商人アントニオが主人公。そのアントニオは友人のために借金をすることになる。金を貸すのはユダヤ人金貸しのシャイロック。シャイロックは「金が返せなかったら心臓の周りの肉を1ポンド切ってよこせ」…というムチャな内容の借用書を書かせる。結局のところアントニオは借りた金が返せない。借用書通りに「肉を1ポンド切るように」とシャイロックは要求してアントニオを殺そうとする。しかし、裁判官は…
「この借用書に肉を1ポンド切ることは書いてあるが、血のことは書いてない。血は流さずに切るように。」
…との判決を下す。
ユダヤ金貸しシャイロックは悔しがるけれどもどうにもできない。金は返ってこず肉も切れず。アントニオ助かってめでたしめでたし。
シェークスピア4大傑作のひとつとして知られる「ベニスの商人」ですが以上が大まかなストーリーです。ユダヤ人と金貸し業が極悪のように描かれているのがよくわかります。しかし、肝心なのはユダヤ人がこういう嫌がらせに遭いながら借用書を完璧にする技術を身につけて金融業を極めていったということだと思います。国を持たない流浪の民。嫌われる金貸し業。しかしユダヤ人はそれらのハンディを逆手に取って「情報と金融」の分野で覇権を握るようになりました。少なくとも現在のアメリカでは金融もメディアもすべてユダヤが握っています。どうしてユダヤ人がそんなにすごくなったのかその理由を教えてくれる一冊だと思います。