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観劇レビュー 『NTL 「リーマントリロジー』

National Theater  Live は英国ナショナルシアターが厳選した、世界で観られるべき傑作舞台を各国の映画館で上映する画期的なプロジェクトです。日本では2014年にダニー・ボイル演出、ベネディクト・カンバーバッチ&ジョニー・L・ミラー主演の「フランケンシュタイン」で初上陸しました。

”ナショナルシアター・ライブ公式HPのイントロダクションより抜粋“

2/14から全国TOHOシネマズ系列の映画館で公開された今年一発目のNTL「リーマントリロジー」を観てきました。ちょうど時を同じくして公開が開始された「1917」のサム・メンデスが演出を手がける舞台。演者はたったの3人(+ピアニスト1名)!Simon Russell Beal(リア王、ホロウクラウン等)とAdam Godley(アンブレラアカデミー等)とBen Miles(ホロウクラウン、ブラックミラー等)の3人がそれぞれの時代に応じて演じる役を変えていきます。

この作品はマストで観たいと思っていましたし、NTLで劇場公開されると知った時は奇声を上げて喜びました。思いっきり個人的な話ですが、リーマン・ブラザーズの歴史には興味はありません。リーマンショックの名前の元でサブプライムローン焦げ付かせて大破綻した会社という認識でしかありません。また演者も格別推しがいるというわけではありません。キャストで顔にピンと来たのもAdam Godleyのみです。ではなぜ絶対観る候補に上げていたかというと、このリーマントリロジーは2年前の秋にロンドンのNational Theaterを訪れた際に公演されていたからです。その時は無計画に建物を観に行こうとだけ思って訪れたため事前にチケットも買っておらず、 公演内容も知りませんでしたが、「綱渡りする男」のポスタービジュアルに何故か魅了され(NTLで公開されたら絶対に観に行くぞ…)と心に決めたのでした。

さてそんな思い出補正だけで観に行ったリーマントリロジーですが、4時間と2回の休憩という長丁場にも関わらずあっという間に感じられる面白さでした。

NTL作品の舞台演出には特に毎回唸らされるのですが(「コリオレイナス」の椅子や「夜中に犬に起こった奇妙な事件」の床など)今回の舞台も見事でした。枠とガラスによって囲われたオフィスが場面によってアラバマの積荷だらけの小商店に見えたり、会議机が表彰台に見えたりと想像力をさまざまなシーンで掻き立ててくれます。

見どころはそれぞれのシーンにおける演者の切り替わりの素晴らしさです。ある時は幼い少年、ある時は引退した経営者、ある時は数種類の女性像を瞬時に切り替えたり…3人の演者の才能が如何なく発揮されていておかしいやら可愛らしいやら。

今年の目標はNTL制覇といこうかな。超長編ですがまた観たくなる作品でした。

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