溶け込む
僕が長ズボンを履いていれば、みな僕を何者だとも思わないだろう。電車に乗れば、ただ前に座ってる人、隣に座ってる人、あるいはそれ以下かもしれない。
でも、どうだろう。半ズボンを僕が履けば、僕は一気に皆の視線を集めることになる。
街中で小銭を落とすだけで皆の視線を集められるんだよという悪い知恵を本で読んだことがある。この場合、僕は半ズボンを履くだけで完結するのだ。
だが、あの視線を好意的に思えないのはどうしたことだろう。僕の精神が弱いのか。
履きたいものを履けばいいじゃないか。そういう言葉があるけれども、あんなの押し売りだ。
それは理性の言葉だ。
またこうして僕は途方に暮れてしまう。