装画『高卒程度公務員 直前必勝ゼミ』-メイキング
装画を担当いたしました。
今回のお仕事は
2019年から約1年かけて5冊ぶんの装画を担当した『受験ジャーナル 特別企画』と、2020〜2022年の『高卒程度公務員 直前必勝ゼミ』から継続してご依頼いただけました。
『直前必勝ゼミ』としては4冊目です。
このシリーズは毎回かなり自由に描かせていただいており、各号の主役が次号の主役にバトンを渡すように続いている…という裏設定があります。
これを踏まえての今回。
1:ご依頼
過去の3冊は「公務員になったらいろんな人々と関わることになるよな〜」と思った私が、車椅子の方や盲導犬を連れた人、アフリカ系っぽい人、ムスリムの人、妊婦さん…などを盛り込んでいました(先方からはそこまでオーダーされてません。私が描きたくて描いた)。
そのぶんちょっとお堅すぎるところもあったかな〜というかんじなので、今回は特に明るく、ワクワクできるように!ということですね。
2:ラフスケッチ(約10日後)
もともと「次があるならロックスヘアさんの花屋を描きたいな〜」と思っていたので、ネタ自体はすぐに定まりました。
コロナに戦争に実質増税の連続に…と現実がいろいろ辛いので、「雨上がりにも綺麗な景色が広がっている」希望のようなものを見せたいなと…
しかし上に載る文字数が多いので、カラフルにまとめるのは難しい…
今回はちょっと過剰気味ににぎやかにしちゃうくらいを求められているのかな、と感じたのでさらに光の演出を入れたverも。
描きながら「虹色のコートの上に虹色の光とか、バランス崩壊しないか…?」と自分でも「後で苦労しそう」な予感はあった。
3:フィードバック(約2日後)
余談ですが編集さんが以下のバックストーリーを考えてくださいました。
自分には出てこない発想だったのでおもしろいなー!と。
このシリーズの担当編集さん、毎回楽しく盛り上げてくださいます。
4:ブラッシュアップ(途中経過)
基本的にはラフをそのまま仕上げるのですが、
猫の入っているポケットに合わせて、カラフルな市松模様を少し小さめに描いたverも作っていました。
ちゃんと布の縫い目に沿って模様があった方がいいかな…と思ってやってみたのですが、「ポケットがそこにある」ことがかえってわかりにくくなったのでセルフ没。間違い探しのような差ですが、比較すると市松も大柄の方が映えるかんじです。
「わりと時間をかけて調整してみたけど最初のラフの方が結局はいいので戻す」ことはままありますが、毎回地味に悔しい。実際や描いて比較してみないとわからないことではあるのだけど。
また虹色のフレアもがんばって入れてみようと試行錯誤してみたのですが、やっぱりせっかくのレインコートが死ぬ…!と思ったので
逆光に白い光線を合わせたverを作ってみました。
制作中は迷走しすぎて、自分では何が正解なのか判断できなくなりました…
5:納品(ご依頼から約7週間)
光線ありverといっしょに納品して、最終的にはシンプルな方が採用されました。自分からいろいろ提案しておいて情けないところもありますが、文字が載るとやっぱり画面が煩雑になるので、削るのも大事だなと思います。
今回は納期が長めだったからとギリギリまで時間をかけすぎたと反省…
ご対応くださった皆様ありがとうございました。
この後さらにデザイナーさんがメインタイトルの色や全体の構成のいろんな案を出してくださいました。
(毎回イラストの情報量が多いので、ご苦労をかけていることと思います…本当にいつもありがとうございます!)
6:完成
今回は多様性の表現とかは度外視で構成したけど、あらためて見るとレインボーフラッグのイメージにも繋がるかも。
本書を手に取った受験生の皆さんが、少しでも明るい気持ちになれたなら幸い。