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Hack the Natural Objects.

こんにちは、ものづくりユニットGADARA の柳原です。
(GADARAについては、こちらの記事をお読みください)

今回はぼくらが作った最初のまともな作品「Hack the Natural Objects.」を紹介します。(作品と呼べるようなものではなかった作品たちもいつか紹介したいです。笑)

「Hack the Natural Objects.」は石や流木などの自然物の中にマイコン、バッテリー、センサーを入れて環境に作用するインタフェースにしてしまおうというプロジェクトです。

動画のように流木を右に回すと光量が増え、左に回すと光量が減ります。オンオフではなく、なだらかな変化を再現するためにこの動作を採用しました。

光を操るというのはあくまで一例で、音量を上げたり、インターネットがつながればだいたいなんでも(wifiで実装してるので)活用することが可能です。無線にしているところが結構ポイントで自然物がただ置いてあって、回すだけでライトを操作できるのは不思議な感覚がします。
印象的だったことは、展示を行った際に3歳くらいの女の子に体験してもらったことがあったのですが、使い方をすぐに理解してくれて、お母さんを連れてきてお母さんに使い方を教えてくれるということがありました。魔法使いになったかのように得意げな顔で遊んでくれてめちゃめちゃうれしく思いました。「光量を変化させる」という日常にありふれた単純な道具の操作方法ですが、道具が自然物になるだけでユーザーの振る舞いや感じ方を変えることができるということは改めて発見でした。

自然物が持つ感性的な価値

そもそもなんで自然物なのか? 幼い頃に公園や海、山などに行った時に手触りが良いと思う石や流木を家に持って帰ったことはないでしょうか?何かしらの機能を持っているわけでもないのに(置物として、人を落ち着かす、部屋の印象を良くするなどを機能と捉えることも可能ですが)、色や手触り、ひんやりとした質感は他に一つとして同じものがありません。「なんかしらんけどグッと来る。」幼いころに誰もが抱いたであろうこの感覚にヒントを得て製作しました。

端的に言うと、「Hack the Natural Objects.」は物質として魅力を感じる自然物に道具としての機能を後から加えようというプロジェクトです。

こういった自然物の持つ感性的な価値に着目した作品製作を行っているのは我々だけではありません。例えばMATHRAXさんのいしのこえは、大小さまざまな石が並んでいて、それに触れると心地よい音が聞こえてくるという作品です。また、首藤 圭介さん・金箱 淳一さんのThe Blink Stoneは石をかたどった樹脂の中にソーラー電池とLEDとセンサーが入れられており、衝撃を受けると石がぼんやりと光ります。
これらの作品は我々が「Hack the Natural Objects.」を製作する前から存在していた作品で製作を進める中で影響を受けました。

なんの変哲もない自然物だからこそ、少しテクノロジーが介在するだけで、不思議な道具をつくることができるのだと思います。スマホがあれば何でもできるようになっているからこそ、自然物のような超アナログなものでシンプルな動作を実現するということに面白みを感じます。

受賞・展示

うれしいことに「Hack the Natural Objects.」はYouFab 2018 SPECIAL PRIZE(LION AWARD)で特別賞を受賞しました

YouFabとは

「デジタルとフィジカルを横断し、結合する創造性 = Fab (ファブ)」。
YouFabは、デジタルとフィジカルなものづくりの高度な連携によって生まれるクリエーション・発明を評価し、贈賞するアワードです。
常識に挑む。常識に抗する。常識をHackする。
そんなスピリットに溢れた挑戦に、YouFabは強く期待します。

ライオン賞のテーマは「MERGE -仕事と暮らしが溶けあう未来」でした。

自然物とテクノロジーが溶け合う作品のイメージがテーマと合致していたこともあり評価いただけたようです。
審査員の方々からの言葉が非常にうれしかったのですが、とくにクリエイティブディレクターの福田敏也さんの言葉が響きました。

「Hack the natural objects」。2つの理由で興味深かった。1.ハードのインターフェースはその存在感を隠し、ストレスを消す方向へと進化する。という未来を予見させるという理由。2.センサーを中心としたパーツ群が高度化コンパクト化していくと、そのモジュールさえ埋め込めればハードはなんでも良くなる時代がくる。という未来を予見させるという理由。ほんとにすごいテクノロジーはきっと、その存在を感じさせないところまで進化する。彼らの開発がそのユニークな未来を見せてくれるものへとさらにさらに発展することを祈っている。

あまり自分たちの作品に対して言語化せずに「なんとなく面白そう」と思いながら製作したものに対して、その価値を表す言葉をつけてもらう。この感覚はこれまでに味わったことのない体験で、作品が自分たちのものだけではなくなる感覚がして非常にうれしく思いました。

受賞歴・展示歴
【PRIZE】YouFab 2018 SPECIAL PRIZE(LION AWARD)
https://www.youfab.info/2018/winners/hack-the-natural-objects

【EXHIBITION】YouFab 2018 Exhibition Polemica! (2019 2/17 – 3/3)
https://www.youfab.info/2018/exhibition_polemica.html

【EXHIBITION】百芸論回 〜未来のアートの話をしよう〜(2019 10/20)
https://100banch.com/events/22392/

プロジェクトのこれから

正直なところ、勢いとノリでつくった作品でしたが、受賞とその後の展示に向けて準備を進めていく中でGADARAの活動が進み始めました。「Hack the Natural Objects.」は今後小型化・実装の簡素化を目指したいと思っています。

この作品があったから、GADARAではなんとなく「自然物系で作品をつくっていく」というコンセプト(というか方向性)ができました。
さて、このふわっとした考えがわれわれにとっての二作目「MAMMALIANISM LIGHT」を生むことになります。端的に言うと「キリンの首の構造を模したデスクライト」。はい、わけがわかりませんね。

次回はたけこしから「MAMMALIANISM LIGHT」の製作の全貌を語ってもらいます。お楽しみに!

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