療養期間を経て。
3月に入り、これで最後に体調を崩した日から一年経つ。
体調が戻ったあたりから必死に次の派遣先の打診をお願いしたり、アルバイトを探したりと必死になっていたが、どれも空回りだった。
コロナの影響もあり、採用に積極的な企業は多くなく、体調不良を起こし就業条件が厳しくなったわたしへの会社の風当たりは強かった。
合理的配慮、なんて言葉だけのものだった。
"普通"に生きることが、こんなにも難しいということを改めて思い知らされた。
とにかく、わたしの身体は厄介だ。
幸運なことに特に障害はなく、ここまでやってこれている。
だから、健常者に見られがちなのだ。
しかし、内部的な部分ではかなりハンデがある。
疲れやすく、体調が安定しない。
そういった面で、やはり一般企業で、"普通"の人のように就業することは無理だったということがこの一年でありありと証明された形になった。
実際、この一年でステロイドは40mg→8mgまで減量することができたし、免疫抑制剤やプラケニルを併用してなんとかここまでやってきた。
通勤や職場でのストレスなく、伸び伸びと療養してきた成果だろう。
通院日だった今日、主治医になんとなく聞いてみた。
「やっぱり、わたしは働くのは難しいでしょうか」
主治医の答えはあっさりしていた。
「SLEでも働いている人はいますけどね」
まぁ、数年前とあらかた同じことを言った。
この人にとっては、数値でしか診ることができないから、仕方のないことなんだよな、と軽く心の中で苦笑いをした。
信頼を寄せていた皮膚科の先生も、開業されたとかで退職されていた。
もうこの病院には信頼できる先生はいなくなってしまった。
ドクターに治療以外の何を求めるのだ、と思う方もいるだろうが、もう少しだけ心のケアがあったらいいのにな、と思ってしまう。
ずっと悩んでいたセカンドオピニオンも、そう遅くはないうちにくるかもしれない。
かくして、この一年の療養期間はとても意味があるものだと個人的には思った。
あと半年で、退職までどれだけの準備ができるのかが当面の大きな課題ではあるが、きっとわたしはもう、会社員に戻ることはないだろう。
***
周りは新社会人の代。
高校の友人らと久々に顔を合わせたが、やはり話題に上がるのは就職先のこと。
つい先日あった友人は看護師だから、ほぼ私と同じぐらいに社会人になっているため、ある程度境遇は似ているが、やはり私はどちらかというとアウェーである。
ほとんどの人が春から社会人。なのに私は退職しようとしている。
看護師の友人も転職するといい、すぐに転職先を見つけて春から新しい病院で働き出すと言う。
いつも置いていかれている。
高校の時も、周りが大学受験をするなか公務員受験(就活)をし、社会人になってからも周りが大学生活を満喫するなか、あくせく働いて。
そして今も、そう。
一歩先をいっている、といったら聞こえはいいが、疎外感にいつも苛まれている。
会社を辞めて、フリーになるという話を自嘲ぎみに話すと、友人の一人は「すごいじゃん。何にでもなれるし、自由だし。身体のことを考えたら融通きく方がいいしね。夢があっていいなぁ」
彼女はやりたいことがたくさんあって。何事にも全力で取り組む姿を見てきたから、そう言われると少し誇らしいというか、素直に嬉しかった。
私も、新たな道に進む。
ある意味ではスタートの年である。
心機一転、気を引き締めて頑張ろうと思えた。
新学期を迎える前の不安と期待のような感覚を抱きながら、満開の桜を眺め、帰路についた。