棒読みちゃん→東北きりたん連携の辞書登録について

棒読みちゃんとボイスロイドを連携するとき、読みの修正はどちら側ですればいいのでしょうか。修正方法と、その利点や欠点について書きました。プラグインを使って接続していますので、まずはその動作から見ていきます。

VoiceroidTalkPlusの仕組み

棒読みちゃんにVoiceroidTalkPlusプラグインを挿すと、棒読みちゃんは文字列の置換をしてから東北きりたんに文章を送ります。

棒読みちゃんの下の方に(1)から(6)まで処理が表示されています。(4)~(6)は、棒読みちゃんが喋るための処理ですので、ここでは説明を省略します。

処理の内容は、
(1)文章が入力されたとき、
(2)表記ゆれを直したあと、
(3)棒読みちゃんの辞書を使って、単語置換します。

きりたんには、置換後の文章(3)が送られます。

上手く読んでもらえない例

「幼気」という単語があります。
棒読みちゃんはデフォルトで「いたいけ」と正しく読みます。

しかし、きりたんは「よーき」と読んでしまいます。

このまま連携すると、棒読みちゃんに「幼気」が入力されたとき、きりたんにはそのまま「幼気」が送られて、きりたんは「よーき」と読みます。

これを修正するには、棒読みちゃんの辞書を使うか、きりたんの辞書を使うかの2通りがあります。まず、一単語ずつ追加する方法を書きます。

単語を一つずつ登録する

1. 棒読みちゃんの辞書に追加する

辞書登録→単語→単純置換で、
　・探索文字列「幼気」
　・置換後「いたいけ」
と入力して新規追加します。

すると、「幼気」が文中に出てきたとき、棒読みちゃんが「いたいけ」に変換してから、きりたんに送ります。なお、この方法ではイントネーションを制御することはできません。

2. きりたんの辞書に追加する

画面の下半分から、単語編集を選択し、見出し、読み、イントネーションを設定して、登録します。

こうすることで、棒読みちゃんから送られてきた「幼気」を「いたいけ」と読むようになります。イントネーションも自分の思い通りになります。

単語を一括登録する

一つ一つ登録するのは手間です。専門用語やゲーム用語は、一括でまとめて登録できれば便利です。公式の方法はありませんが、棒読みちゃんと東北きりたん、どちらも不可能ではありません。

EX1. 棒読みちゃんの辞書

棒読みちゃんは、教育コマンドを使って一括登録することができます。バビロン氏の艦これ辞書は、コマンドを羅列したテキストを読ませることで、棒読みちゃん本体のファイルを触らずに登録できます。これはアプリ内の機能を使いますので、不具合は出にくいでしょう。

# コマンド例
教育(単語１=たんごいち)
教育(単語２=たんごに)
教育(単語３=たんごさん)

この教育コマンドを使って、生放送のリスナーに手伝ってもらうこともできます。コメントをしてもらうと、棒読みちゃんの教育辞書に登録されます。便利ですね。

そのほか、棒読みちゃんの辞書ファイルを直接編集する方法があります。これは別記事で紹介します。

棒読みちゃんはボイスロイド以前から使われていることもあって、公開辞書を配布する有志の方々もいらっしゃいます(saikai氏の汎用辞書、薬味＠おかゆ氏の麻雀辞書など)。なので、自分で作り上げなくてよい分、比較的短時間で導入することが可能かもしれません。

EX2. きりたんの辞書

きりたんには、教育コマンドはありません。公開辞書も現時点では見つかりませんでした。辞書登録はすべて自分でするしかありません。しかし、辞書はテキストで保存されているので、直接編集できます。これも別記事で紹介します。

どちらの方法がいいのか

きりたん側の処理の利点と欠点をまとめてみました。棒読みちゃんはこれらが逆になります。個人的には、きりたんの発音を崩したくなかったので、きりたん側に登録しています。目的に合わせて選んでいただければと思います。

きりたん側で処理する場合
利点
・きりたん単体で使用する場合にも有効
・イントネーションを設定できる
・自然な発声を維持できる
欠点
・設定に時間がかかる（イントネーションや確認ダイアログのクリック）
・複数のボイスロイドで共有できない可能性がある
・放送のリスナーさんに手伝ってもらえる
・一括登録が比較的難しい

※我が家にはきりたんしかおりませんので、ほかのキャラクターや、VOICEROID2でも同じかは分かりません。

今後、棒読みちゃん側、ボイスロイド側でまとめて辞書登録する方法や、ゆかりねっとを使用した場合の辞書登録について、書いていくつもりです。ここまでお読みくださり、ありがとうございました！