データ・アプリケーション(3848) 取材(2024/3 2Q後) 書き起こし
第2四半期の総括を行うと、どのような感触でしたか?
特需などもあり、想定以上に好調でした。
今回もバージョンアップや切り替えの需要により、想定を上回ったのでしょうか?
そうですね。ただ、創業して40年。これまでの「顧客」という資産が大きいことを改めて感じました。
インストールベースに資産がなければ今回の特需のようなことはなかなか起きにくいと思います。
下期も好調な業績は継続しそうでしょうか?特需はもう取り切ってしまいましたか?
あるとも言えませんが無いとも言えません。
上期と同じ状態が下期も続くかというとそこまでは期待できないかなと思いますが、下期が悪いというわけではありませんが想定通りです。
今期に関しては通期として好調だとは思いますが、特に上半期に良いものが集中したということです。
今、第3四半期の半ばまで来ていますが、足元は順調でしょうか?
はい、順調に推移しています。
来期以降に計上される予定の売り上げが前倒しで今期に特需として計上されたと認識しているのですが、
その分、来期以降の業績に影響は出ますか?
そういう風な危機感自体は当然あります。そういう危機感に対するアクティブアクションとして新しい事業の創出や新しいマーケットの開拓、採用活動なども含めて取り組んでいます。
来年以降も楽なビジネスができるとは思っていないので、それに対して“できることは何か”を常に考えています。
中期経営計画も今年度で終わりますので、来年以降3年間の新しい中期経営計画も来年以降の情勢を睨みながら粛々と検討している最中です。
来年、新たな中期経営計画を出す計画は進んでるということでしょうか?
確定はしていませんが、社内で議論は進めています。
業績について。リカーリングの売上も順調でしょうか?
そうですね。
特にサブスクリプションに関しては、我々自身の営業活動もありますが、お客様の購買の形が変わってきているのもあり、引き続き好調に推移すると考えています。
パッケージでまだ新規で買われるお客様やバージョンアップされるお客様がいて、一方でリカーリングに切り替えているお客様もいますが、その違いはなぜ出てくるのでしょうか?
IT資産をどう会計処理するか、お客様によって考え方が異なります。
ソフトウェアをサブスクリプションで購入することが世界的に主流になりつつあり、海外製品を含めてIT投資が大きいお客様ほどサブスクリプションを選択する傾向があると感じています。
弊社としては買取型よりサブスクリプション型のほうがメリットが大きいように価格体系を設計しています。
今回の大型案件をサブスクリプションではなくパッケージで獲得した影響で運用保守が増えたりしますか?
そうですね、その分保守は増えます。
上方修正の幅が比較的保守的に感じられました。下期に広告宣伝費や人材、ITシステムなどにコストをかけていく理由について教えてください。
今回、規模としては今まで以上に大きく、広告系や人材系、IT系を含めて約2億円を使っていく予定です。
EDIビジネスにおいては一定の知名度がありますが、データ連携ビジネスにおいては後発であり、まだまだ「データ連携のDAL」という認知が低いという課題があります。
お客様がデータ連携を検討する際に候補にあげていただけるよう、広告宣伝で認知度を向上させ、提案機会を増やすことが狙いです。
同時期に採用も進行中なので、「データ・アプリケーション」を知ってもらうために強力な広告宣伝を行い、今期だけでなく、来期や再来期、中計にもインパクトを残す考えです。
どのメディアに広告を掲載する予定ですか?
テレビCMやwebのタイアップ、イベントなどに多くの予算を割り当てています。
テレビや大手経済紙、IT系のメディアなどを予定しています。
広告宣伝費、人材系、it系への投資をトータルで約2億円ですが、内訳を教えて下さい。
広告系に約1億円超、人材系、IT系にそれぞれ数千万です。
期初の計画で広告宣伝費はどのくらいの予定でしたか?
1~2千万円の予定でした。
来年の採用は順調でしょうか?
全体的には大変な状態が続いています。
しかし、営業に関しては給与体系や評価体系などを完全に変えました。
主にハイタッチ営業をする人を取りに行ってるので、提示する給与体系に合えば採用できる人材はいます。そういった方は取れつつあります。
逆に技術系は、苦労しています。
その辺も含めて知名度やブランディングが改めて重要になっているため、来年からのテレビやweb媒体で「データ・アプリケーション」という名前をまずは覚えてもらおうと思っています。
移転コストが下期に乗ってくる部分があると思うのですが、どれくらいになりますか?
総額キャッシュベースでは約1.7億円。今期PLへのインパクトは約2千万円です。
今回、大口受注以外の部分で社内的な計画値より上ぶれた部分はありましたか?
売上区分で見ると総じて計画は上回りました。
大型のものだけでなく、バージョンアップが予想以上に多かったです。
コロナの影響でIT系を凍結されていたお客様もいました。本当は新しい場所に移ってなきゃいけなかったんですけど、凍結していたためコロナが明けてきて再度動こうと思ったらもう正規の保守は終わっていて、ちょっと割り増し払ってでも既存のものをバージョンアップが終わるまでは動かさないといけないお客様もいたようです。そこにはどうしても工数もコストもかかるし、やっぱりリスクもあるのでそれを考慮すると、どうしても少し遅れ気味になってしまうのはやむを得ないでしょうね。
バージョンアップするタイミングに来ているお客様が2Qまでにどれぐらい移行しましたか?
上半期には大半のお客様が移行を完了しました。
延長保守をしながら今まさに移行を進めているお客様もいますが、ごくごく一部の特定のお客様を除いては今年度中に全て完了見込みです。
新規事業(Placul)の進捗はいかがでしょうか?
Placul(プラカル)のコンセプトは「デジタルワークプレースにおける新たなるワークハブ」です。
要はいろんな働き方をする中でコミュニケーションやタスク管理ツールのハブになるものが無いのでそれを作るということがコンセプトになっています。それを今、粛々と作っている状況です。来期中にはリリースできるかなと思います。
新規事業(Placul)は来期以降、どういった形で売上に寄与していくのでしょうか?
最初は緩やかな売上になるかと思います。既存の弊社の製品とシナジーがあるかというと、全く無いわけではありませんが、ほぼ違う領域なのでリンクはしてきません。 売り方についても今までの代理店とは異なる代理店の層でないと売れないだろうなとも思っています。
ひょっとすると大化けして大きな柱になるかもしれませんが、まだまだ育てないといけないフェーズなので、来期以降すぐに弊社の売上に寄与できるかというと、なかなか時間がかかると思います。
新規事業(Placul)を御社が作る優位性や強みはどういったところになりますでしょうか?
弊社はエンジニアの会社ですので、自社で全て実験できます。エンジニアのワークスペースであったり、働き方の効率化も含めて取り組んでいるので、自社でできないものは売れないという観点もあるため、自社でできるかどうかを試しています。そこが1つの強みですね。あまりまだ言えませんが。
機関投資家が注目している部分はどこですか?
機関投資家に聞かれることが多いのは『サブスクの進捗が想定以上に良いのはなぜですか?』という点です。
サブスクの進捗が良い理由は営業努力にあります。必ずサブスクで提案しています。
当社は大半が間接販売なので、提案機会が少ない中で機会をどれだけ増やすかが重要です。
提案の機会が得られれば、サブスクリプション型のメリットも説明できるということです。
お客様からは「データ・アプリケーションさんってEDIじゃなかったんだ、データ連携もできるんですね」と思われていましたが「データ・アプリケーションはEDIも出来るデータ連携の会社」というイメージに変わっていきたいというのも今回、広告宣伝費をかける目的の一つでもあります。
そうすると、データインテグレーションの市場の方が当然大きいので、そちらの方も営業努力で取れるのであれば、伸びる幅がもっと広がるのかもしれないと考えています。
また、個人投資家からは『思ったほど下期利益出ないんですね』とよく言われます。
先程ご説明した通り、中計の3年目の数字もクリアしており、今期の中計の3年目の数字から見たところの上積みした数字もクリアしています。
今期で出し切るというよりかは来期、再来期を目指して少し投資させてくださいということを伝えていますが、まだご理解いただいてないことも多いのかなと思っています。
今後のスタンスとしては「売上も伸ばすが利益も伸ばしていく」 のか、それとも「投資をどこかで大きく踏む可能性がある」のかどちらでしょうか?
今まで通りだと思います。基本的には売上も確実に上げて、利益も確実に上げていくスタンスではあります。
ただ、 投資しないといけないタイミングが来るのであれば、投資を進めると思います。もしもその方向に進む際は、しっかりと説明します。
また、データ・アプリケーションのnoteでも決算解説を公開しているので、参考にしてみてください。「2024年3月期第2四半期決算概況 ポイント解説~特需・上方修正・増配など気になるあれこれ~」
https://note.com/dataapplications/n/na7f20164a8ee