
【インタビュー】インドネシア🇮🇩発レゲエ/DUB | Yella Sky Sound
どうも1TAです。
タイでのSUBCAMP編の記事、第3弾完結編。
*第1弾はこちら
*第2弾はこちら
最後を飾るのは、インドネシア人ジャカルタ在住のレゲエ/Dubセレクター、プロデューサーのYella Sky Sound、Gonja Hi FiのAgent Kのインタビューをお送りします。
彼はインドネシアに拠点がありつつ、タイのサウンドシステムGonja Hi Fiにも所属しながら東南アジアのネットワークを繋げて精力的に活動をしているとてもユニークな存在。
Funkotなど独自のサウンドシステムカルチャーが存在するインドネシアでレゲエ/Dubを軸に展開している彼にインドネシアと周辺国の現状を伺ってみました。

自己紹介をお願いします。あなたのキャリアや音楽について教えてください。
(Agent K、以下 K) 名前はAgent K、インドネシア・ジャカルタのYella Sky Soundのセレクター兼プロデューサーで、タイ・バンコクのサウンドシステム・コレクティブ「Gonja Hi Fi」のメンバーでもあります。
2014年12月にYella Sky Soundをスタートしました。これはジャマイカ音楽であるレゲエ、特にダブの実験的なサウンドへの情熱から生まれたものです。2025年現在、Yella Sky Soundは2枚のLP、3枚のEP、そしていくつかのシングルをリリースしています。これらのリリースの中で、Eek-A-MouseやAktarv8r(Asian Dub Foundation)、Jalifa、Mehdiman、Sak-Dub-I、Judean Kong A.K.A King Kong Killa、Bimjo、King I、Miroll、King Spade、Red I、Masia Oneなど、世界的に有名なアーティストたちとコラボレーションしてきました。
また、2022年にはYella Sky SoundはGonja Hi Fiの一員となりました。
Gonja Hi Fiについて教えてください。
(K) Gonja Hi Fiは、2020年頃に結成されたタイ・バンコクのサウンドシステム文化のコレクティブです。「Gonja」は「黒猫」という意味で、タイを象徴するユニークなシンボルなんです。
現在、Gonja Hi FiにはJudean Kong A.K.A King Kong Killa (タイ)、Sista Zine (タイ)、Kelly K (タイ)、Sticky Keys(マレーシア)、Jan Up(ドイツ)、Papa Steve(イギリス)、そして僕たちYella Sky Sound(インドネシア)が所属しています。Gonja Hi Fiは、いくつかのイベントも開催していて、最新情報は彼らのSNSでチェックできます。

インドネシアのレゲエ/ダブシーンについて教えてください。また、レゲエ文化の影響を受けたサウンドシステム文化の歴史についても教えてもらえますか?
(K) 正直なところ、インドネシアではレゲエはけっこう人気がありますが、ほとんどがバンド形式です。ダブは現在成長中で、一部のバンドがこのスタイルを実験的に取り入れています。一方、サウンドシステムカルチャー自体も発展しています。たとえば、Dubyouth、Anjing Dub、Roadblock Dub Collective、Baxlaxboyといったプロデューサーたちが、このスタイルを広める上で重要な役割を果たしています。
また、レゲエ特にダブを中心とした新しいセレクターやプロデューサーも登場してきています。ただ、自分たちのスピーカーを作っている人はまだ少ないですね。それでも雰囲気はすでに根付いてきています。地域によっては、サウンドシステムカルチャーがかなり人気になっていますが、必ずしもレゲエ、ジャマイカ音楽をプレイしているわけではありません。
インドネシアでダブに特化したサウンドシステムはどれくらいありますか?また、Funkotのサウンドシステム文化について知っていることがあれば教えてください。
(K) 正直、今のところ「これだ!」というものはないですね(笑)。実際にはダブのファンが情熱のみで自分たちのサウンドシステムを作っているような感じです。それが現実ですね。
先ほども言ったように、サウンドシステムはすでにインドネシアで人気がありますが、レゲエはあまりプレイされていません。主にプレイされているのは、Funkot(ファンコット)やダンドゥットといったジャンルです。これらは特にダンスが好きな大衆に人気があります。Funkotは1990年代初頭に登場し、ハウスミュージックと高速ビートを融合させたジャンルです。その中でもBarakatakというグループがFunkotを広めた一つの要因です。
セレクターたちはどうやって音楽を入手していますか?また、ヴァイナルDJは多いですか?
(K) インドネシアでは、ほとんどの人がSpotifyやApple Musicのようなデジタルプラットフォームで音楽を聴いてます。でも、カセットやレコードをリリースすれば気に入ったらちゃんと買ってくれます。また、DJはDJコントローラーやPC経由でターンテーブルを使うセレクターが多いですね。ただ、ヴァイナルでプレイするセレクターは特に評価が高いです。自分の曲をプレイしていてヴァイナルをリリースしていないプロデューサーは別ですが。
現在、ヴァイナルを使うセレクターは結構増えています。ダブだけでなく、さまざまなジャマイカ音楽のジャンルで活躍しています。注目のヴァイナルDJには、Deejay Gantung、Kodim Inna Riddim、Iqbal Djoha、DJ Rencong A.K.A Dangerdope、Juik Cobra、Don Costell、Nisu、Mantasticmateなどがいます。
インドネシアとアジア周辺諸国のサウンドシステムシーンの繋がりについて教えてください。今後どう成長・発展させたいですか?
(K) これは面白い質問ですね。個人的な意見ですが、アジア全体を見る前にまず東南アジアにフォーカスするとインドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ベトナム、カンボジアとの繋がりはすでにしっかりしています。いくつかのDJやプロデューサーはお互いを知っていて、東南アジアの様々なイベントで共演してきました。
アジア全体としては、今後さらに強い関係が築けることを願っています。アジアは文化が多様で、レゲエ式のサウンドシステムカルチャーにおいても世界的に影響を与えられる独自の強みがあると思います。もしかすると、日本がアジア全体のジャマイカ音楽文化の拠点になるのでは?と期待しています。
あなたが主催するイベントや、おすすめのイベントなどはありますか?
(K) Yella Sky Soundとして特定のダンスパーティーを開催しているわけではありませんが、いくつかおすすめのイベントがあります。
インドネシアのジャカルタでは、毎年開催される「Reggae XMas」(Klub Reggae 73主催)や「Ram Dance Selecta」(Get Sub Foundation主催)があります。ドラムンベースやベースミュージックのファンなら「Phunktion」(Javabass Soundsystem)や「Bassflux」(Klab73 Soundsystem)もおすすめです。
また、「Wondersoul Weekender」というコレクティブもレゲエのパーティーを頻繁に開催しています。スラバヤでは「Simmerdown」というイベントがあります。
タイ・バンコクでは、Gonja HiFi主催の「Bangkok Dub Attack」や毎年恒例のサウンドシステムフェス「SUBCAMP Festival」も見逃せません。フィリピンのマニラでは、Red I Soundsystemとそのクルーが主催する「Irie Sunday」があります。シンガポールでは「Singapore Dub Club」がイベントを開催しており、マレーシアでは「Langkawi Dub Club」というコレクティブがあります。