波のカナタ 高2_14
海辺 晶 夏実 5
海辺近くのコンビニで買ったカップ麺を砂浜の前のコンクリートの階段で食べる二人。晶は、功と小5んとき食べたっけとボンヤリと考える。
「美味くない?」晶は、味噌ラーメン。
「美味しいけども。わざわざデートでカップラーメンて」夏実は、塩ラーメン。
ハァーと溜息をつく晶。功くん。なんで怒ってんのかな。__ヤキモチ? なワケねえし。話し掛けようとしても、なんか避けられてる。……落ち込むな。
隣の夏実は、晶の溜息を気にしないように海を眺める。そんなに私といても、つまんないのかな。傷つくな。あ、デートって言ったのが、マズかった? それともカップラーメンのこと、嫌味に聞こえちゃったかな。__けど、ちょっとヒドくない?
一方その頃、佐々木 功も海辺のカフェにいた。午前中で部活が終わり、ジャージで合コンに来た。サッカー部2年男が3人に、ソフトテニス部1年女子が2人でサンドイッチやパスタを頼む。女子1が一人風邪で来れなくてごめんね、と謝る。友希(ともき) が、笑顔で大丈夫と明るく答える。2対2でワイワイと話していて、佐々木 功はなんとなくカフェの中から海を眺める。晶と夏実が砂浜にいることに気づく。夏ちゃんと晶が気になり、手元のサンドイッチを皿ごと持ち、ガラス扉を開けてバルコニーに出る。二人を眺める。晶が夏実を、お姫様抱っこ。……白昼堂々とセクハラ? (一人でいる功に 同情した?)合コンの女子が隣に来て話し掛けてくる。うんうんと相槌を打ちながら、実際は何も聞いていない功。晶たちに集中している。旋回していた鳶が、サンドイッチを取りに下りてくる。女子はキャーと喚いて店内に戻る。功は、サンドイッチを1個投げてやり、後はまとめて頬張る。いいな。楽しそう。うーわ♡ __そりゃそっか。ズキ。ズキってなんだよ。夏ちゃんのこと羨ましい? __そりゃカワイイし、イイ子だし女子高生だし友達だし。晶にムカつく? __だって一緒に童貞守ろうとか、抱きしめてきたり__それから、どこにも行かないでって言ったくせに (寝言だけど) __なのにズルイ!! 自分だけ何の断りもなく女子とイイコトとか。許せない。__あー。これ完全に。
リア充に対する嫉妬? イケメン爆ぜろー!! 的な?? あーもうワかんない!! けど、ちょっとくらいイジワルする権利あるよね!!??
功がバルコニーから見ていた晶たちに場面は戻る。晶が、カップラーメンを食べてから砂浜に下りて波の近くで足を伸ばす。夏実に座れば? と言う。夏実は新品のワンピにサンダルだから、いいと呟く。晶が立ち上がる。夏実に笑い掛ける。
「ちょっと青春ぽく波でパシャパシャしない?」
「え。服濡れるしヤだ」
「お姫様抱っこしてやろっか?w」晶が夏実に腕を広げて抱っこしようと近付く。
「え。ヤだよ」
「ホラ。いいから!」なんせ好きな人困らせるのが趣味なのである。楽しくなってきた晶。
「嫌だって」晶は、夏実をお姫様抱っこしようとするが、上手く引き寄せられずにちょっとだけ持ち上げて、直ぐに砂の上に下ろした。夏実は砂浜に座り込む。晶も砂に膝をつく。
「う。……重。ごめ」砂浜に下ろされた夏実が立ち上がって砂を払う。晶も夏実のスカートの裾の砂をヒラヒラと払う。
晶「なっつん。意外と重いなー。何キロ?」本人に悪気は無い。細いと思って聞いている。
「もー!! 信じらんない。もう帰る!!」
「ごめん。駅まで送る」無言になる。夏実は、本気で怒ってるわけじゃないのにな、どうしてこうなるんだろと切なくなる。浜辺が途切れる。夕方になり暗くなる。夏実が先を歩く晶のジャージのそでを摘む。ん? と晶が夏実を振り返る。夏実が晶を見つめて目を閉じる。……。これってキスしていいってことだよね。ドラマとかによると?? いや、マズいって。そんなことしたら__ なっつんのこと、本気になっちゃうし、何もかも奪いたくなる。__柚子。功くん。助けて。
©️ 石川 直生 2021.
佐々木 功です。え。ありがとう。晶ー!なんか挨拶だって。晶です。え? えっと。え。柚子です。お金は大事だよ〜♪お気持ちだけで。