波のカナタ 高2_15 海辺 晶 功
海辺 晶 功 13
夏実が見えなくなってから駅へと歩きだす。合コン終わりの友希たちに会う。
友希「アキちゃん。どしたのー。一人?」晶 うわ。今一番会いたくないヤツに見つかってもーた。友希は、噂好き。付き合っただの別れただのが、大好物である。
晶「そっちは? ダブルデート?」
友希「まーな。これからカラオケ行くから。じゃあ!!」
「そ。じゃね」友希たち4人のあとから少し離れて佐々木 功がやって来る。晶は、推しに気づいてドキンと鼓動が高鳴る。功くん!! 功は、晶を見て視線を逸らす。……功くんもデートか。仕方ないよね。せめて、友達でいいからそばに居たかったけど。カラオケ混ざりたいとか__言えないし、夏ちゃんのこと、聞かれたくないし。もう疲れた。帰ろ。晶は、友希たちと別れてコンビニに入る。
カラオケに向かう友希に功がこそっと声を掛ける。
功「俺、用事できた。抜けるね。男子2にも言っといて」なんかゴメンな、と言う友希に楽しんできてと答えて来た道を戻る。コンビニから出てくる晶に体当たりするモンチュウ(功)。
「アーキラ!! モキュ!!」
「功くん」晶が驚く。ドーンと体当たりする佐々木 功。
「痛って! 何すんのよ!」
「何って。__イジわる? ねー。海行かない?」
「お前、さっきのデートは?」
「ん? 合コンだよー。男3女2で、俺あぶれたの。カワイそーでしょ。付き合ってよ」
「そーなんだ! 付き合いますともどこまでも」
「……ウソばっかり」功が小さく呟いた。ん? と晶が聞くのに答えずに、功が海辺に走り出す。二人ともジャージである。
スニーカーと靴下を脱いだ佐々木 功が、波打ち際をパシャパシャ走って波を蹴飛ばし晶にかける。晶も波打ち際に裸足になって入る。
「ちょっと。酷くねー? びしょ濡れ」
「俺、晶にムカついてるし!!」晶が、思わず功を見る。
「……気付いてたよ。__ゴメンな。功くん、もしかして夏ちゃんのこと好きだった?」分かってたけど。
佐々木 功は、それには答えずに晶の方へ走ってくる。
「お姫様抱っこしてた!! アレ、俺にもして!」え? と止まる晶に抱きついてくるモンチュウ。
「早く! 俺、あそこ(さきほどまで居たカフェを指差す) から、ずっと見てたんだよ」
「えーマジ? 恥ずかしー。早く声掛けてよ」晶は、功の後ろに回って功の身体を持ち上げようと腰に両腕を回す。持ち上げるが、功が背伸びをしたくらいで1cmも持ち上がっていない。
「う……腰抜ける。……これ無理だ。お前、重すぎんぞ」功くんは標準に見えるが骨太。骨格がしっかりしている。功が、クルッと回って晶を抱き寄せてお姫様抱っこをしてくる。
「たく、非力だなー。ホラ交代」晶が、えと思う間に功が晶を横抱きにして、トストスと波打際を歩く。
功「おっとー。アハハ、ヤバイヤバイ足止まんない」アハハと笑って砂の上に晶を下ろす。波がザーッとやってきて晶の膝まで濡らそうとする。晶は、慌てて波から逃げた。アハハと晶も笑う。二人共かなり濡れた。
功「ザマーみろ!!」
「ワザとか!?」
「夏ちゃんとリア充してた罰だーー!!」晶が砂の上に座ったまま黙り込む。
功「俺にしたコト、夏ちゃんに言われたくナイでしょ? __どーしてやろっかなー」モンチュウが、悪い顔をして笑う。晶は、ドキドキしてくる。え? 妬いてんの? まさかまさか。そんなはずない__けど。
晶が立ち上がる。
「もうびしょびしょだよ。気ィ済んだ?」
「済むワケねーじゃん」功くんが、走って晶にタックルする。晶を砂の上に押し倒して身体に跨り手首を掴んで押さえ付けた。
功「少しは抵抗すれば? 俺の言ってることメチャクチャでしょ」晶は、ニコッと笑う。
「功にだったら、ある程度のことなら何されても__文句言わないよ」
佐々木 功です。え。ありがとう。晶ー!なんか挨拶だって。晶です。え? えっと。え。柚子です。お金は大事だよ〜♪お気持ちだけで。