波のカナタ 高2_18 映画とキミと波のカナタ
試験一週間前 晶 功 彼方
試験一週間前になり、部活が休みになる。晶は、途中まで一緒に帰ろうと佐々木 功を誘う。佐々木 功は、サッカー部に言ってくるから靴箱で待っててと告げる。晶が、靴箱で待っていると彼方と会う。佐々木 功が、サッカー部に晶と帰るから今日はごめんと言って、靴箱に向かう。
「晶ー。ごめーん。待った? あ、カナっちゃん(彼方のこと)久しぶりー。文化祭の時ありがとねー」
彼方「あ。佐々木くん! こちらこそ、ありがとう! あ。じゃ、バイバイ」
功「カナっちゃんも途中まで一緒に行こうー。家どこ?」功と彼方が、歩き出す。晶も付いて行く。晶は、功を映画に誘いたかったが何も言えず分かれ道に差し掛かる。
晶「あ。俺ちょっと功くんと話してくから。またな。彼方」うん、バイバイと彼方が帰る。晶は、佐々木 功の家の方に歩き出す。
晶「送ってくよ。茶ワンにも会いたいし」
「あのさ、晶」
「何?」
功「カナっちゃんて、カワイイよね。カナっちゃんだったら、男でもつきあえちゃうかも」
晶「フーン」マジかよ。ハァ。どいつもこいつも、彼方かよ。
晶「彼方は__やめた方がいいよ」俺って、卑怯だ。分かってる。
「どうして?」
「アイツ。先輩に迫られてて。男にエロい目で見られんの無理っつーか、なんつーか? 」二人が……とか。絶対に嫌だ。
「あと、アイツのタイプって、年上のお姉さん的な」SNSで出会い探してたとか。言いたい! __けど、言っちゃダメ! メッ! 晶。
「そうなんだ。俺と話合うかも。映画誘っちゃおっかな」本当にキラキラと楽しそうな佐々木 功に晶は眩しくなる。……俺もと、小さく呟く。ん? と功が晶を見る。
「俺も行きたい!!」
「えー? 晶、映画なんて見んの?」晶 映画とか、どうでもいい。__ただ功くんと居たいだけ。彼方と二人きりにしたくない。__それだけ。
「どうしてよく知りもしないのに、彼方と? __俺でいいじゃん。……俺じゃダメなの?」男でもイけんなら__ キミの好きにしてイイから。プラトニックでも、遊びでもなんでもイイ__
「え。晶?」晶が、コクコクと頷く。きゅるんと潤んだ瞳(のつもり)で、功を見つめる。
「だって」何? と晶が呟いた。
功「晶。なんか、でっかいし、身体硬いし、筋肉ついてるし。顔は、まぁカワイイけど、全体的にカワイくナイ!!」晶 うっ。全面否定。__めげるもんか!! 振られろ!! かわいい女子にも、彼方にもフラれちまえ!! __で、慰めんの俺だから!! __ココロのスキマにスンッて入ってやるからな! って……自分で言ってて空しい。
「デッカいって、そっちのがでっけーじゃん!! 身体硬いし、てしょーがないじゃん。筋肉って、こんなん普通だろ!? ……全体的にカワイくなくて悪かったなー!!」くすん。心の中で泣いてる晶。功は、笑った。高2現在、晶の身長169cm、功は175cm。
「もー。バカだなー。カワイくなくたって仲良しでしょ。俺たち」え。なにこれ。下げてからの仲良しブっ込んできたよ??(小悪魔かよ)
功「しょーがナイ。三人で映画行く? あ、カナっちゃんの分は、二人で割り勘なー?」
「う、うん。いいの?」いいよ、別にと歩いていく功。抹茶フラペチーノをみて、おいしそーと立ち止まる。晶が、ちょっと待っててとフラペチーノを買ってくる。店を出ると、功にハイと差し出す。功が、え、と抹茶フラペチーノを見る。
晶「ホラ。前は無理だったけど、今は、小遣いもらってるし」
「……アリガト」やさしいイケメンに戸惑う功くん。
「どーいたしまして」
「晶は?」
「ん。俺はイイ。__あ。やっぱ一口貰ってもいい?」いいよと、功がカップを渡す。晶が、抹茶アイスクリームをスプーンで食べる。功は、お手拭きで手を拭いた。晶は食べてから、あ、どうしようとスプーンを持ったまま固まる。佐々木 功が、スプーンとカップを取る。功くん、抹茶アイスをスプーンで食べる。晶は、それをボンヤリ眺めた。……。間接キス、とか、功くんは意識してないんだろーな。アイスが溶けて功の手に溢れる。こぼしちゃったと、呟く功くん。
晶「手ェ貸して」え。呟きと同時に晶が、功の指を舐める。功は、それをみてドキドキと鼓動が高鳴る。__う。何コレ? この人、エロいです。え。__気持ちイイんだけど。__どうしよう。新しい扉、勝手に開けんなってw!!
「晶……キモい」……エロい。気持イイ。うう。俺、ヘンじゃナイ??
「ごめんな。マジ、ゴメン!!」やっぱ、俺じゃ__だよね。
「あのさ、晶」わー!! ごめんなさいっ!!
功「俺はイイけど、他の人にしちゃダメ!!」へ? ん? いいの??
晶「んん?」
「わかった??」
「ハ。ハイ?」功 もー、なんなの。この人。男のクセして人のこと誘惑してくんな、つーの!! ダメダメ。俺は、カワイイ彼女と青春するんだから!! 晶なんて__。……女子だったら、どストライクなんだけどねー。……。男でもいっか、と思い始めてる自分がコワい!!
©️ 石川 直生 2021.
晶、モンチュウと映画に行く。彼方もね! 晶 功 彼方 2 波のカナタ
シアター前でどの映画を観るか考える三人。
功「カナっちゃん、何観たい?」功くんが彼方と映画観たいって言うから。俺(晶) は、おまけ。しょーがない。邪魔はしないよ。たぶんおそらくきっと。__平常心クールキャラ降臨! 功くんと映画デートなんて初です! 三人でもウレシいです!
彼方「え。ええと。晶くんは?」晶、オフにしてたので、スイッチを切り替える。
晶「え。俺? うーん。エロかったらなんでもイイよw」
功「おうい!! んー、俺コレ!!」部活青春原作有りもの。彼方が、じゃ、それにしよっかと言う。
晶「エロあんの?」功くんが、晶! とたしなめる。
晶「彼方、ここで待ってて。功とチケット買ってくるから」うん、と彼方は答える。二人で券売機に向かう。券売機を操作しながら、話す。
「晶、コレ観たいの?」
「ん? 正直、そんなでもない」功くんの隣に居られりゃそれでいーの。
佐々木功、枚数のボタンで止まる。
「もー。じゃ、俺とカナっちゃんで観よっか?」
「……俺だって」何? と功が晶を見る。
晶「俺だって、1回くらい、功くんと映画観たい!!」必死な晶に、佐々木功が笑う。
「……えっと? どーいうイミ。エロが観たいってこと? 」エロとかどうでも__ってことないけど、功くんと観たいの!!
「功くん、彼方のチケット代払ってよ。俺、自分の払うし」
功「ハイハイ」晶が、5千円札を機械に入れて3枚チケットを購入する。チケットを2枚、功に渡す。
「俺、功くんの分払う」え? と佐々木 功。
「だから、功くんは、彼方の1枚払って」佐々木 功が、晶に一枚分の代金を支払う。
功「いいの?」
「いいですよーーっだっ!!」晶、功にアカンベとする。
「晶、好きーー♡」
「お前は、いっつもこういう時だけな」好きなら、つきあって! つーの。
功「チューしてあげよっか?」
「え。して」無言になる佐々木 功。この人。そーだ。こーゆう人だった……。
晶「コラ!! スンて、テンション下げんな!」
「……ここじゃちょっと」ん? と功をみる晶。
功「今度、二人きりのときにね。ここじゃ人目あるし」晶 え?? 冗談じゃないんかい??
晶「忘れんなよ。テメェ!!」
「晶、ガラ悪い」
「ごめんなさい」……。え。ホントーに?? 思わずガッツポーズをする晶。あー、今日来て良かったーー!! 彼方!! アリガトウ!!
彼方と三人でシアターに向かう。功が、晶を振り向いた。
功「(席)どうしよ?」
晶「彼方が、通路側。で功くん、俺。彼方、チカンに会いやすいから」
功「マジ?」
晶「知らんけど」
功「カナっちゃん、通路側ね。俺、隣でイイ?」うん、と彼方が後方に下がる。晶が先に入って座り、功と彼方も続いて座る。
功「楽しみだねー♡」うん、と彼方。晶、置物になる。塩味のポップコーン食べる? と功が彼方にカップを差し出す。彼方もキャラメル味のポップコーンを食べてと功に渡す。
功「晶も食べる?」あー、うんサンキュと晶が受け取る。功が置物(晶) に話しかける。
「晶、寝ないでよ」既に寝る体勢に入ろうとしていた晶。
「え。どしてバレた?」
「もー!! カナっちゃん、この人、ヒドイよね?」彼方、バックをゴソゴソ探る。
「あ。チケット代いくら? どっちに払えばいい?」
「あ、晶の奢りー」
「違うだろ。功くんが、彼方の分払うってさー」
彼方「え。払うよ」
功「いーの、いーの。俺のは晶が払ってくれたー」
彼方「え。そうなの?」
「うん。あのね、この人。いっつも俺に迷惑かけてるから。ねー? 晶」
晶「まーな。ちょっとは、感謝しろよ」
功「ヘイヘイ。どーも、モキュ♡」
彼方「本当に二人って仲いいんだね」彼方 佐々木くんの前では、本当リラックスしてるっていうか、気を許してるというか。ホントに家族みたい。暗くなり、宣伝が始まる。晶が、モンチュウの肩にもたれかかる。
功「晶。重い」晶、無言で元に戻る。晶、画面を観ながら時々功くんを眺める。真剣に観ててカワイイ。主人公がつらいシーンで、功が晶の手を握った。晶は、えと、自分の取られた右手と功を見比べた。
功「晶。手、ベトベト」
晶「……ごめん」意識すると余計に冷や汗をかく。キモいよね。__離して。功が、うわ! と画面に反応する。晶は、それを見て笑う。
映画が終わる。明るくなって席を立つ。
功「もー! 晶とは二度と映画観ない!」
晶「えー」どしてよ? しゅん。
晶「結構おもしろかったな。思ったより笑ったし、泣いた」一番良かったのは、やっぱキミの反応だけど。
功「よかった。でしょでしょ? なんかウレシイ!」彼方もおもしかったーと笑った。三人でシアターを出てショッピングセンターのエスカレーターで降りる。佐々木 功が携帯で時計を見る。
「まだ平気? お茶とかしていく? 女子みたいだけどw」ちなみに、テストまで1週間切ってるよ♪
晶「ハイハーイ! お茶したーい!! 女子高生したーい!!w」彼方も行く! と笑った。三人で喫茶店でケーキセットを食べる。
彼方「俺、今日塾だから、そろそろ帰るね。とっても楽しかった。映画奢ってもらって、晶くんも佐々木くんも本当ありがとー!!」彼方が、ケーキセット代をテーブルに置いて席を立つ。
功「いーの、いーの。カナっちゃん、ありがとね。超楽しかったよー。またね!!」
晶「ヘンな男に気ィ付けろよー」ありがとー、バイバーイと彼方が去る。晶が、功を見て肘でつつく。
晶「送って行かなくてよかったの」うん、と佐々木 功が晶を見る。
晶「__どうすんの?」
「何が」
「彼方と付き合うの?」
「……うーん」晶 ん。どした?
功「女子だったらなー。まァ、カナっちゃんならアリっちゃアリなんだけど。つーかさ! 晶は?」
「は?」
「カナっちゃんとイイ感じじゃん。カワイくて健気でイイこで。なんとも思わないの?」晶 確かに可愛いよ。健気__そうだね。イイコ。そりゃそうだ。__だけど、功くんのことが。……好きだから。
けど、言えない。だって。言ったって。砕けるだけ。__困るだろ? 功くん、優しいから。
「うーん……。俺のことは、いいじゃん。お前だろ? 彼方のことカワイイ、映画行きたいつったの」さっきもまたね! つってたじゃん。__言っとくけど、俺も連れてけよ。
「うーん。も、いーや」晶 え。
「え。どして?」あ、もういいってのは、俺(晶) のこと? そういや、俺とは二度と映画観ないってか。男に重い体でのしかかられて、手は汗でベトベトだったし、よほどヤだったんだろうね。しょーがないじゃん。デッカくなっちゃったんだし、緊張して手汗かくんだから。せっかく、功くんが手を繋いでくれたのにな……。ペシぺし! 手汗のアホ!
功が、彼方の千円札と伝票を持つ。
「晶、まだ時間ある?」コラ。テスト前ダゾ!
佐々木 功です。え。ありがとう。晶ー!なんか挨拶だって。晶です。え? えっと。え。柚子です。お金は大事だよ〜♪お気持ちだけで。