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熊出没のニュースが全国で相次いでいる。

※熊の記事は数日前に書いたばかりだということを忘れていた(笑)

ニュースの核心は、熊が増加しているとか、生息域が広がっているなどと言っているがはたして本当にそうなのだろうか。

私は人間が逆に熊の生息域にどんどん入っているために、熊が静かに暮らせる生息域が狭くなったために、人間の領域に出てこざるを得なくなったということではないかと思う。

山間地にソーラーパネルを建設したり、ネマガリダケやきのこを採りに行ったり、山の中でトレランの大会を開いたり、ルートなしの藪山登山も増えてきた。道をどんどん開通し、ロープウェイをつくり、山を観光地化する。

そうした中で、静かに暮らせる場所が狭まったこと、また熊の生涯の中で人間という生き物を認識し、怖がらなくなったということもあるのではないか。

ネマガリダケは従来、採ってきたものを自分の家で食べるか地域の人におすそ分けする程度のものであった。せいぜい、地域の直売所やスーパーの店頭に並ぶくらいなものだった。しかし、メルカリなどフリマアプリが出てきたこともあり、全国に向けてネマガリダケなどの山菜を売ることができるようになった。商業目的で山に入る人が増えたことも要因の一つであると思う。

私の住んでいる地域はどちらの方向を向いても山が見えるので、いわゆる都会よりは熊に遭遇しやすい環境だと言える。しかし、山に囲まれているわけではないし、山を背にしているわけでもない。

熊が出ると、同報無線で街中に放送が流れる。しかし、山の中で見たという放送ではない。市街地の中の住宅街に出て住民が襲われた、というものだ。

私も登山をするので熊にはかなり気をつけている。気をつけているというより、熊に出くわさないようにしている。具体的には熊鈴を付け、ラジオを鳴らし、子どもが持つような防犯ブザーを鳴らし、さらに一応、爆竹も携帯している。最近は、熊は目は悪いが嗅覚が鋭いということで、持ち運び可能な蚊取り線香を購入した。防犯ブザーの音はもしかしたら鳥の鳴き声に聞こえてしまうかもしれない。熊は自然界にない音に警戒するというので、ペットボトルを握ってつぶしながら歩くのも有効だと聞いた。つまるところ、熊に遭遇しないことが第一であり、熊にこちらの様子を早めに伝え、立ち去ってもらうのが一番なのだと思う。

万が一にも出くわしてしまったらどうするかというのはいろいろなところに書いてあるのでここでは省くが、戦うためのナタなどの道具や熊除けスプレーは持っていない。その装備をして熊の生息地に入っていくなら行かないほうがいいし、出くわさないことが最善策であろう。

今年はネマガリダケを採りに何度か山の中に入ったが、ネマガリダケが密生していて人間が身動きが取れないような場所に、間違いなく熊のものであろう糞が大量に落ちているのを何度も見た。冬眠から目覚めて食べ物がまだ少ない春先から初夏にかけては、雑食の熊にとってもネマガリダケは最高のごちそうなのだ。

熊が悪いわけではない。人間が悪いのだ。

一時、スーパーKと呼ばれた凶暴熊が話題になった。駆除したところかわいそうという声もあったが、それも当然だ。熊の個体数が増えているというのは推測であって、もしかしたら減っているのかもしれない。ペンギンやクジラ、イルカはかわいそうで、イカやタコ、イワシはかわいそうでないのと同じ論理だ。

人間も熊も同じ生き物なのだ。いかに共存できるかを探っていかなければいけない。人間は自分本位で、人間の環境に変化があると環境が悪いと勝手に決めつける。人間そのものが環境を壊しているのにも関わらず、相手方を排除しようとする。そんな警告を、熊がしてくれているのではないかと思う。



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