#6 Let me introduce "SKEW"
「SKEW」とかいてスキューと読みます。
「横目で見る」という意味があります。他には「歪んで」や統計上の「非対称」などあまり聞かない言葉ですが、響きや文字列が好きです。
インスピレーションは趣味の自転車で右斜後ろを見る事が多く、かけてたサングラスが小さくて、丁度フレームの角が視界に入って見づらかったので「右後方確認しやすくなる?」と思って作ってみました。
「作ってみれば大して変わらない」とオチのある話なのですが、シンプルにボストンシェイプとウェリントンシェイプが「二大シェイプ」と言われており「ボストンVSウェリントン」というのも面白いと思ったからです。
今となってはルイヴィトンやファションブランドでも左右非対称なサングラスはチラホラ見かけますが作ろうと思ったのは2010年頃だったと記憶しています。
当時、アランミクリやテオなどで既に左右非対称のデザインが存在しており、アイウェアの歴史の中でも新しさはありませんでした。しかし、私たちは自分のインスピレーションに従って自分なりの左右対称サングラスを形にしてみたかったのです。
このSKEWはパッと見の丸いボストンシェイプと四角いウェリントンシェイプなのですが、アイウエアは前から見られるだけでなく、横や斜めからも見られます。
その為360度どこから見られても少し「違い」をだしています。
テンプルは左右でデザインを変えていて右は「ボートのオール」の様なデザインを、左はアメリカのShuronに使われる「テーパードテンプル」と使い分けています。
左に太めのテンプルを組み合わせたのは重さのバランスを取るためでもあります。右のボストンに比べて左のウェリントンの方が天地幅は狭く軽いからです。
上から見た時にはテンプルが緩やかに内側にカーブし頭を包み込むようになっているのがわかるでしょうか?
このモデルは老若男女世界共通誰でも掛けやすいのですが、一応アジア人の顔に合わせたジオメトリックで作られています。
そのため、頭の側面が張り出したアジア人にはキツいテンプル設定は頭痛やストレスの原因となります。
締め付けが少ないように緩くカーブをつけているのがポイントです。
ここまで、一つのサングラスの説明にお付き合いいただいた方は眼鏡好きか、暇な人だと思いますが、ここまで読んでいただけたなら最後までお付き合いください。
前半では主に形について説明しましたが、後半では素材や色について話したいと思います。
使用するプラスチックは「アセテート」という植物由来のプラスチックとなります。
アセテートは経年変化によって「日焼け」や「縮み」が起こることがあります。汗や皮脂によって表面がくすんだり白くなったりもしますが、研磨によってピカピカに戻すこともできます。
アセテートは一枚の板を削り出してつくるため廃棄される部分も多いため環境負荷も大きく、型に液体を流し込む「インジェクション」と呼ばれる製法が増えています。
しかし、インジェクションでは表面を塗装で仕上げるため少し安っぽく見えがちです。
逆にアセテートの魅力は「色と質感」と言えるでしょう。
「色」は独特なマーブル柄や笹柄、鼈甲柄など個性のある表情を見せてくれます。
「質感」という意味ではインジェクションの塗装仕上げより硬質で引き締まった感じ、例えば黒色なら墨汁の様に深い黒に見えるのです。
さて、ここまで思いつくままに愛するサングラスについて書いてしまいました。
本当なら次にレンズについて書こうと思っていましたが、書く気力が無いので今後のネタにとっておきます。
最後まで読んでいた方は内容の良し悪し関係なく「いいね」を押してくれたら嬉しいです!
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