おばあさん
毎朝、あるおばあさんをみかける。
おなじ時間、おなじ場所で、
箒を持って、落ち葉を掃いている。
夏場は真っ白でひらひらと、とても涼しげな肌着姿で、
秋には暖かそうな深い茶色のカーディガンを羽織って、
お家の木から落ちた葉っぱを、いつも同じ時間に掃いている。
おばあさんは箒をまるで自分の手足のように、とても自然に動かしているので、
もしかしたらあのおばあさんは、いつも箒を持っているのかしら、手と箒が一体になっているのかしら、と思っている。
葉っぱは優しく、すこしずつ直線上に集められて、
最後に塵取りに入れられている。
忙しい朝のひと時も、おばあさんはいつもゆったりと箒を動かしている。
まるで掃き掃除のために背中を丸くしたかのような、ちいさいおばあさん。
朝から落ち葉を掃く、おばあさん。
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