#0231【遠く異国の地へ(旧約聖書、ヨセフ、エジプトに売られる)】
1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。 今週は、旧約聖書の物語シリーズをお送りします。
前回の【No.230:埋らない兄弟の溝と怒りの行動(旧約聖書、ヨセフの受難)】の続きです。
ヤコブの長男ルベンは、ヨセフの命を奪う必要はないと主張しました。
ヨセフの兄たちは、ヨセフが着ていた父ヤコブから特別に仕立ててもらった裾の長い晴れ着をはぎ取ります。
そして、ヨセフを捕らえて穴に投げ込みました。
<>内は旧約聖書からの引用を基に記述。
<その穴は空っぽで水はありません。
兄たちは、ヨセフを穴に投げ込むと、腰を下ろして食事を始めました。ふと目を上げると、イシュマエル人(ヨセフたちとは別の民)の隊商がやってくるのが見えました。
彼らはらくだに樹脂、乳香、没薬などの貿易品を積んで、エジプトに下って行こうとしているところでした。
ユダ(父ヤコブ、母レアの間に生まれた四男)は兄弟たちにこう言います。
「弟ヨセフを殺しても何の得にもならない。それよりあのイシュマエル人に売ってしまおう。弟に手をかけるのはよそう。あいつだって肉親(ヨセフの母はレアの妹ラケル)の弟なのだから。」
兄弟たちはこれを聞き入れて長男のルベンが穴に戻ると、意外にもヨセフがいませんでした。
実は、兄弟たちがヨセフを売る算段をしている間に、ミディアン人(彼らもヨセフたちとは別の民)の商人たちが穴に落ちているヨセフを見つけ、銀二十枚でヨセフをイシュマエル人に売ったのでした。
哀れ、売られたヨセフはイシュマエル人の隊商に組み込まれてエジプトへと連れ去られたのです。
そうとは知らないルベンは狼狽します。特に何とかヨセフを助けてはあげようと思っていただけに途方にくれます。
ルベンは自分の衣を引き裂き、兄弟たちのところに帰ると「あの子がいない。わたしは、このわたしはどうしたらいいのか」と嘆きます。
兄弟たちは、ヨセフの着物を拾い上げて、雄ヤギを殺してその血を着物に浸したのち、父ヤコブに届けました。
ヤコブは自分がヨセフに与えた裾の長い晴れ着であることを認めると、ヨセフが野獣に食われたと思って嘆き悲しみます。
幾日もヨセフのために涙している姿に、他の息子・娘たちが何とか父を慰めようとしましたが、ヤコブは慰められることを拒むました。
「ああ、わたしもあの子のところへ、嘆きながら陰府(よみ)へ下って行こう。」とヨセフのためにヤコブは泣いたのでした。
一方、ヨセフはエジプトに連れていかれると、ファラオの宮廷の役人で侍従長(そこそこ偉い人)ポティファルのモノ(奴隷)となったのです。>
エジプトに売られたヨセフと、彼が見た夢はどう繋がっていくのか。続きは次回。
旧約聖書の物語シリーズは1~2か月に数度のペースで配信していきます。
以上、今週の歴史小話でした!
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