#0211【疑心暗鬼の和解劇(旧約聖書、ヤコブとエサウの再会)】
1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
今週は、旧約聖書の物語シリーズをお送りします。
前回の【0192:ヤコブの脱走と改名】の続きです。
仲違いしていた兄エサウの元へ戻るために、下僕たちと多くの家畜を先に出発させました。
兄への贈り物とするためです。そもそもヤコブが兄の元を脱出し伯父のラケルのところへ行ったのは、兄の怒りを買ったからでした。
贈り物を先に行かせて兄を宥めた上で、顔を合わせられれば、快く迎えてくれるだろうとの考えです。
ヤコブは、二人の妻と二人の側女、それに11人の子どもを連れてエサウの土地へと近づいてきました。
<>内は旧約聖書からの引用を基に記述。
<ヤコブが目を上げると、エサウが四百人の手下を引き連れてくるのが見えました。
ヤコブは子どもたちを、妻であるレアとラケルと二人の側女とに分けました。
先頭には側女とその子供たち、次にレアとその子どもたち、最後にラケルとヨセフ(ヤコブとラケルの間に生まれた息子)の順番です。
その後、ヤコブは先頭に進み出て、兄のもとに着くまでに七度地にひれ伏しました>
兄が許してくれているのかどうか、ヤコブには分からなかったのでしょう。400人もの人数を出してきたのが、歓迎によるものなのかそれとも虐殺するためのものだったのか。
ヤコブは助けたい順番に後ろから並べて隊列を組み、自らは謝罪の意思を表明しながら、歩みでたのです。
<エサウは走ってヤコブを迎え、抱き締め、首を抱えて口づけし、共に泣いた。>
エサウはヤコブを歓迎しました。二人は再会を祝して共に泣いたのです。
<やがて、エサウは顔を上げて、女たちや子どもたちを見まわして彼らが何者かを尋ねます。
ヤコブは「あなたの下僕であるわたしに、神が恵んでくださった子どもたちです。」と答えると、ヤコブの家族たちはエサウの前に進み出てひれ伏します。
また、エサウが多くの家畜について尋ねるとヤコブは贈り物ですと答えます。エサウは自分のところには十分すぎる程あるから、ヤコブのものはヤコブが持っていなさいと受け取りを固辞しますが、ヤコブの再三の勧めを受けて、エサウは受け取りました。
そして、エサウが共に進もうぞとヤコブに申し出ると、ヤコブは自分たちは子どももいて歩みも遅いため、別々に行動しようと願います。
エサウが何人か手伝いのものをヤコブによこそうとしますが、ヤコブはそれも好意だけを受け取るにとどめました。
こうして、ヤコブは無事にカナン地方にある町に着くと、町の傍に宿営し、その土地の一部を地元の有力者から金銭で買い取りました。>
兄との再会も感動のうちに果たし、その兄とは別の土地にようやく安住の地を見つけたヤコブでしたが、まだ苦難が残されていたのです。
以上、本日の歴史小話でした!
(続き:No.212【ペテンと復讐の嵐(旧約聖書、ヤコブの娘に起きた悲劇)】)
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