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#0229【繰り返される父の偏愛と兄弟の争い(旧約聖書、ヨセフの夢)】
1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。今週は、旧約聖書の物語シリーズをお送りします。
前回の【No.213:終わりは新たな始まり(旧約聖書、ラケルの死とイサクの死)】の続きです。
イサクの息子ヤコブには12人の息子がいました。ヤコブの妻であるレアとラケルの姉妹に8人。ラケルの召使いビルハとの間に2人。レアの召使いジルパとの間に2人です。
ヤコブは最も愛したラケルとの間に生まれたヨセフを特に可愛がります。
<>内は旧約聖書からの引用を基に記述。
<ヤコブは父(イサクのこと)がかつて滞在していたカナン地方(現イスラエル等)に住んでいました。
ヨセフは17歳のとき、兄たちと羊の群れを飼っていました。まだ若く、父の側女であるビルハとジルパの子どもたちと一緒にいたのですが、彼らの素行について、ヨセフは父ヤコブに告げ口をしていました。
ヨセフはヤコブが年を取ってから授かった息子であったこともあり、どの息子よりもかわいがり、彼には裾の長い晴れ着を作ってあげました。
兄たちは、父がどの兄弟よりもヨセフを可愛がる姿を見て、ヨセフを憎み、穏やかに話すこともできませんでした。>
父の偏愛が兄弟の絆にひびを入れる様子は、過去の旧約聖書の物語でも多く出てきた事例です。
最初の人間アダムとエバの間に生まれたカインとアベルの兄弟は、仲違いを起こして、最初の殺人事件を起こしました。カインが弟のアベルを殺害したのです。
直近では、ヤコブが兄エサウから長子の特権を騙し取るなどの行為で危うく殺し合いになりかねませんでした。
そういった悲劇を避けるため、ヤコブは自分の母の実家に避難し、伯父のラバンにこき使われながらも妻を娶り、今の安定した生活を得ます。
兄弟間の不平不満が募る中、ヨセフはある夢を見て、その夢を家族に話しました。
<「聞いてください。わたしはこんな夢を見ました。畑でわたしたちが束を結わえていると、いきなりわたしの束が起き上がり、まっすぐに立ったのです。
すると、兄さんたちの束が周りに集まって来て、わたしの束にひれ伏しました。」
これを聞いた兄たちは「なに、お前が我々の王になるというのか。お前が我々を支配するというのか。」
兄たちはヨセフに対してますます憎しみの心を抱きます。
ヨセフはまた別の夢を見て話します。「太陽と月と11の星がわたしにひれ伏しました。」
今度は兄たちだけでなく、父にも話しました。父はヨセフを叱って「わたしもお母さんも兄さんたちもお前にひれ伏すというのか」と言います。
兄たちはヨセフを妬みましたが、父もこのことを心に留めました。>
旧約聖書の冒頭である創世記において、繰り返しこういった兄弟間の争いが出てきますが、これは人類を一つの家族・兄弟とみなしたときに争いは避けれないといった意味なのでしょうか。
兄弟間の悲劇は、父である神の愛が必ずしも平等ではなく、公平・公正にも欠けることの暗示のように思えます。
しかし、ヨセフの夢は11人の兄たちだけでなく、父(太陽)と母(月)すらも自分にひれ伏すといった内容でした。
この夢がいったい何を意味しているのか。続きは次回。
以上、本日の歴史小話でした!
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