木刀素振り日記75/4月27日
2021年4月27日「窓じゃない」
◆日々は大小の驚きに満ちている。
◆この日、平日夕方のピザスーパー(店内で焼き上げるピザがべらぼうに人気のスーパー)に行った。店内は混んでいて、家族連れもちらほら。小学校に上がるか上がらないかの男の子と目が合う。レジで支払いを済ませ、買ったものを袋詰めするためのサッカー台に移動する。目の前は一面ガラス張りの窓で、スーパーが面している通りの様子がよく見渡せる。通りは大きくはない。その向かいに、入ったことのないギフトショップ、理由不明の安さを誇る八百屋、その通りより細い路地などが見え、その路地をさきほどの男の子が小さな自転車で通っていき、少し遅れて、男の子の両親と思しきふたりが歩いていく。わたしはまだサッカー台で袋詰めをしている。
◆目の焦点をやや手前に移動させると、一面がガラス窓だ。ふと視点を下げると、そこに濃い緑色の取っ手がある。取っ手は「まちがいなくこれは取っ手だ」とすぐにぴんとくる太さで、おそらく男の子が乗っている自転車のハンドルよりやや太いくらいだと思う。ひとつ、水平に2センチほどずれた位置にもうひとつあり、そのあいだに、縦一直線のスリットのようなものが入っていた。「どうしてこんなところに取っ手が」という疑問が浮かぶのとほぼ同時に衝撃が走った。いや、同時ではなく、衝撃はその直前の疑問を追い越すような勢いだった。わたしはこう思った。
◆この窓、開くのか?
◆終日、木刀素振りせず。
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