魔法少年☆ワイルドバージン(公開まであと8日)

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平素よりお世話になっております。今田です。

前回はサーフィンで溺れた宇賀那さんが深海にひっそり棲息していたオス人魚のわたしと出会うところまでをご紹介したようなしてないような。とにかくその後なんだかんだあってわたしたちはひとつの映画を作ることになりました。人間になってまだ3日目。生えたての足をもつれさせながらたどりついた門前仲町のバーで宇賀那さんは言いました。

「一緒に脚本を書け。断れば故郷の海をリゾート化する」

人間の言葉はまだわかりませんでしたが、宇賀那さんの濁った瞳を見ただけで、なにかたいへんなことを言われているとすぐにわかりました。その日から戦いの日々が始まりました。

まずは人間の使う「文字」を学び、名詞動詞助詞助動詞などの「文法」を覚え、O・ヘンリの短編で「物語」「起承転結」をマスターし、シド・フィールドの脚本術で「脚本」を理解したあとは、ビックカメラ池袋本店パソコン館でノートパソコンの「万引き」をそつなく済ませ、ようやく準備が整いました。しかしそれでもまだスタートラインに立ったにすぎません。

脚本とはなんだろう。苦吟をつづけるわたしの自宅に、宇賀那さんから荷物が届きました。細長い筒状のそれのふたを開けると、中から丸まった大きな紙が出てきました。広げると信じられない光景があらわれました。

「故郷の海がリゾート化されたイメージ図」

わたしは泣き果ててぼろぼろになりながらも、脚本を書きました。母や父や兄や妹、たくさんの友達、そして残してきた許嫁。みんなが棲むあの美しい海を無くしてはならない。自分の故郷はあの海で、帰る場所はあそこしかないのだから。

今回の作中で芹澤興人さん演じる月野が「アフリカが恋しい」と口にするシーンがあります。そのセリフがわたし自身の境遇を投影したセリフであることは言うまでもありません。

明日はまじめに書きます。

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『魔法少年☆ワイルドバージン』
12月6日より新宿バルト9、梅田ブルク7にて公開
http://wv-movie.com

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