「斎藤」魔法少年☆ワイルドバージン(公開まであと2日)

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こんばんは。今田です。写真は斎藤工さんです。

今回、共同脚本として参加する中で何度も驚くことがありましたが、そのひとつがストーリーの鍵を握る「伝説の童貞魔法使い・高橋」役のキャスティングでした。ある日の脚本打ち合わせの席(京都祇園の料亭で50人の芸者さんをはべらせながら開催)で、いきなり宇賀那さんは言いました。

「高橋役、斎藤工さんはどうですかね……?」

どうですかもなにも最高じゃん。

宇賀那さんの前作『サラバ静寂』での斎藤工さんの怪演はすごかった。音楽が禁止された近未来。彼の演じる冷徹な取締官・杉村は、自らの過剰な嗜虐嗜好を隠そうとせず、法を犯す者たちを無残に粛清していく。その異常性を際立てる多くの演技、小道具使いが本人のプランによるものと知り、ぼくは愕然としました。誤解を恐れずに言えば、こう思ったのです。

この人のモノボケが見てみたい。

限られた設定に自らのアイデアをぶち込み、すでにある世界をさらにふくらませる。『サラバ静寂』で斎藤工さんがやっていたのは、目の前の小道具で笑いをとりにいく「モノボケ」とまったく一緒だと思ったのです。それはとてもスリリングで、映画にどこまでも奉仕する最高の行為です。

しかし今回の役は「童貞」です。しかも「伝説の」が付きます。あと「魔法使い」も付きます。改めて並べ直せば「伝説の魔法使い・高橋」です。いくらなんでもこれはどうなのか。「孤独を抱える天才外科医」とか「事件の鍵を握る謎のマジシャン」とか「コンサートでしか鍵盤に触ることのない奇跡のピアニスト」とかではありません。あの斎藤工がそれでいいのか。「伝説の魔法使い・高橋」でいいのか。

そんな不安を伝えると、宇賀那さんはふっと笑って、たったひとりで50人の芸者をはべらせながら、祇園のネオン街に消えていきました。その背中には確固たる自信が見えました。

それから時は流れ、ぼくが本物の高橋を見たのは本作の試写です。最高だった。陳腐な表現ですが、脚本上に踊っているただの文字に血を通わせたのは間違いなく斎藤工その人でした。予告編ラストショットでも使われているセリフは、高橋という存在を一言で射抜くものでした。

「お前のキンタマともっと話し合えよ!」

台本にそんなセリフはありませんでした。本当にすごい人だ。

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『魔法少年☆ワイルドバージン』
12月6日より新宿バルト9、梅田ブルク7にて公開
http://wv-movie.com

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