抱き枕に抱かれて|2023.01.17-01.19
[2023.01.17(火)]なんて幸運だろう
妊婦健診(38週6日)、母子ともに異常なし。体重1㎏増、特に注意なし。内診の結果、まだすぐには生まれなさそうな様子。
今日診てくれた先生が非常に丁寧で感動を覚えるほどだった。胎児と母体の状態を詳しく説明してくれただけでなく、入院時についての質問にも明確に、優しく答えてくれた。しかも目を見て会話をしてくれた。出産間近の不安を感じているなかで、こんなふうに心から信頼できる対応をしてもらえるととても気持ちが和らぐ。長い待ち時間もまったく苦にならないくらいだった。幸運だなぁ、とニコニコしてしまう。まぁ、本番の日にこの先生がいるとは限らないのだけど。
[2023.01.18(水)]本を作りたいのかもしれない
気持ちが和らいだなぁ、などと言っていたにもかかわらず、実は緊張しているのだろうか、昨晩は胸やけで目が覚めてそのまま明け方まで眠れなかった。横になると胃酸が逆流してくる感じがして、ひたすら毛布にくるまって座り、水やリンゴジュースを飲みながら気分がよくなるのを待っていた。空が白むころになって、「胸やけで眠れないときは座布団などで上体に傾斜をつけると寝やすい」という情報をネットで仕入れたので、枕の上にクッションを重ねておそるおそる横になると、少し眠れた。こんな夜を過ごしたことがないので思わずくわしく書いてしまった。
自律神経の乱れは出産が迫っている緊張のせいかもしれないけれど、もう一つ心当たりがある。『いつもよりも具体的な本づくりの話を。』(北尾修一、イースト・プレス、2022年)を昨晩読み始めてまもなく、駆け出し編集者時代の自分に読ませてあげたくて泣きたくなるような気持ちの高ぶりを感じたからだ。特に、以下の部分に差し掛かったとき。
あの頃、企画会議のために苦し紛れにそれっぽい著者とタイトルと概要とターゲット層、仕様、想定部数と定価、ページ数などを書き込みながら、まったく確信は持てず、当日には毎度、上司にちょっと突っ込まれたらガラガラと足場が崩れていくようだった。自分に面白い本の企画なんてできる気がしない、どうしても出したいなんてとても考えられない、と思っていたし、企画が通らないと逆にホッとするような有り様だった。こんなに意欲がない私は一人前の編集者になどなれないだろうと悲観していたし、数少ない通った企画の制作中に、著者から「プロの意見を聞きたい」などと言われるたびに「プロなんて呼ばないでほしい……」とプレッシャーに完全に押しつぶされていた。何もかも恐ろしくて食事も喉を通らなくなっていった。結局、企画から携わった本が発行される前に、私は体調を崩して会社に行けなくなってしまった。私が出したいと願った本のすべては他の編集者に引き継がれた。
「嘘でも自信と度胸を持たなければこの世界で闘っていけない」と思い込みながら、まったくそうなれない自分に失望ばかりしていたあの頃の私に、この本を持っていって「自信も才能もいらないんだよ!! しょぼくれてないで自分にできることを精いっぱいやれよ!!!」「従業員として保身に走ってないで著者と本に向き合えよ!!!」「読者として正直になれよ!!!」とかとかいろいろ言って揺さぶってやりたいと思った。
当時、もう無理、と思って逃げ出したことを後悔しているか? いいえ。あの時逃げ出さなかったらきっともっと深刻に心身の調子を崩していただろうし、今のように健康で、幸福ではいられなかっただろう。でも、心から出版したいと願った本を、あれやこれやと関係者と相談しながら納得いくものに作りあげて、書店に並べてもらう喜びを、そして売上を喜んだり悲しんだりする経験を、あとちょっとだったのにつかみ損ねてしまったこの心残りを、このまま抱えて生きていくのか?
ふぅ………、ただ、本をちょっと読み始めたくらいでフラッシュバックみたいに一瞬にして感情が高ぶってしまって、ちょっと落ち着きたいなと思っている。時間はまだある。ひとまず、類書をメモ代わりに「欲しいものリスト」に追加した。Amazonで買うかどうかは置いておいて。
[2023.01.19(木)]抱き枕に抱かれて寝る
昨夜は上体に傾斜をつけて寝る作戦でとても安眠できた。枕の上にクッションを重ねているのだけど、そのクッションは「たまひよ」の通販ショップで買った抱き枕で、U字型に丸めて授乳クッションとしても使えるものなのです。そのU字型にした抱き枕を、通常の枕の上に重ねて、そこに身を横たえると、まるで誰かに優しく抱かれているかのような安心感が得られるのです。あぁ、おすすめ。今日も胸やけの不安をなだめながら、そうやって寝ます。
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さて、今週もお疲れさまでした!
抱き枕に抱かれて寝た結果、昨夜は安眠というよりも出口のないデパートをさまよい歩くようなすっきりとしない浅い眠りをしていたので、「最高の解決策見つけた」みたいな感じで自慢したわりにうまくいかなかったことを告白します。
では、おやすみなさい。いい週末を過ごせますように。
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