『うちの子は10秒もじっとできないのですが、何か良い方法がありますか?』
twitterのDMで保育や子育ての相談をいただくことがあります。「正解」を導き出せるわけでは無いのですが、少しでも不安の解消になるように何かのヒントになるようにと自分なりの視点をお伝えさせていただいています。
先日ご相談いただいた方から「いただいた文章が私だけで読ませてもらうのもったいないのでツイートに載せてみては…同じように悩んでいる方の支えになるのではないか」とそれこそもったいないお言葉をいただきました。個々でケースは違うので「答え」とはならないけれど、同じように悩んでいる方がいることを知るだけで勇気付けられるかもしれないし、ひとつの視点として何かのヒントになれば、誰かひとりでも助けになれたらと思い掲載します。
いつも前置きが長くてすみません。
『うちの子は10秒もじっとできないのですが、何か良い方法がありますか?』
回答
(内容が伝わりやすいように原文ママです)
はじめまして、こんにちは。
メッセージありがとうございます。
少しでも支えになれていること嬉しいです。怒りすぎた、と落ち込むほどお子さんと向き合い自分とも向き合ってらっしゃるんですね、それだけで十分すごいことです。
4歳6歳の男児、じっとしていられないとのこと。元気いっぱいなんだろうなと想像します。叱るの大変だと思いますが、なにも恥ずかしい事ではないですよ。
僕には赤ちゃんの頃から仲良くさせてもらっている今年6歳になる友人がいるんですが、これが元気すぎてスーパーでは走り回るし駐車場でもふざけようとするしで注意するしかありません。こないだなんかショッピングモールの真ん中で半ケツ出そうとするし。楽しくて面白いと思ってやったんだろうけど、怒るしかなくて。「ああ、笑ってもらおうと思ってやったんだろうなあ」と思うと怒ってしまったことを悔いてしまいます。2週に1回程度しか会わないからなるべく笑顔で過ごしたいのについ怒りすぎるから「怒るから嫌い!」と言われる始末…悲しい(笑)ちなみに、ヘッダーの写真はペットショップでいなくなったと思ったらあられもない姿で見つかった時のものです。
怒りたくなくても怒っちゃいます。怒らないといけない時の方が多いです。怒りたくはないのに…。いつも怒りたくないのになあって反省します。
大変やんねえ、という話だけではせっかくご連絡いただいた意味がないので、僕なりの視点をまとめさせていただきますね。
「じっとできない」という悩みをどう解決したいのかを考えてみます。
①「じっとできるように」したいのか、②「怒ってしまう」ことがしんどいのか。(両方かもしれませんが、分けて考えてみますね)
①子どもが「じっとできるように」したい
この問題については残念ながら僕では解決できないですが(もう、そういう生き物だと思う)、見ておきたい視点はあります。
[じっとできないことで起こりうるデメリットと対策]
ランキングをつけると分かりやすいです。例えば
1位 事故がおきるかもしれない
絶対に起きてはいけないので「駐車場では」「道路では」とハメを外さない場所を決めて具体的に伝えます。絶対の絶対の絶対にダメ!頼む!と伝えておきます。
2位 トラブルになる
できれば避けてほしいことなので、「私の見えるところで遊んでね。頑張ってみてくれ」というくらいで伝えます。それでも楽しくてテンションが上がってしまうことが必ずあるので、その都度注意をするしかないかなあと思います。
3位 周りに迷惑をかける
声が大きかったり邪魔になったり、良くないけれどしょうがない事でもあるので、その都度「大きい声出さへんよー」と声をかける。10回でも100回でも声をかける。どうしようもないなら周りに謝る。
って感じで、重要度を分けます。
「走っちゃダメだし、商品を触り歩いてもダメだし、大きい声出してもダメだし」と色々言うと全く聞いてないので「危ないから走るのだけはダメ」とひとつだけ伝えてみます。「危ない=ダメ」「店内で走る=危ない」とわかるように。「ハシル…アブナイ…ダメ」と。
それでも走りますけどね。
②自分が「怒ってしまう」ことのしんどさ
子どもが「できること」を目標にしないようにします。
ーーー前述の通り、脅すなどの方法を使わない限りじっとはできないと思っています。
なので、できなくても自分を責めてはいけません。「危ないから怒った」「迷惑をかけるから注意した」で完結させるようにします。「今日も元気だったな、いっぱい怒ったな、大きな怪我がなくてよかったな」で花マル100点です。
[一番大切にしたい視点]
○子どもに「しんどさ」はあるか
その状況が「しんどくて」じっとしていられない、あるいは、じっとしていられない事で「しんどい」ことがあるかどうかを見ます。
お話いただいた内容だけの推測ですが、その「しんどさ」はないのかなあと思います。楽しくてエネルギッシュで2人合わさったら最強!になってるんだろうなと。怒ってしまう、と悩まれていますが、多少口うるさくても子どもたちの事を大切に丁寧に子育てしていらっしゃるのが伝わってきます。その愛情と安心感で、子どもは親から離れて冒険することができます。(愛着形成と心の安全基地)
4歳6歳の坊ちゃんたちは自分たちがちゃんと見守られていることを感じていて、安心して2人の世界を楽しめているんじゃないかなあと思います。怒られながらも、たまに迷子になったりして不安になりながらも。
とても真面目でいらっしゃるので「じっとできない子」が「できない子」と思われて心配かもしれませんが、じっとできることよりも大切な部分はちゃんと育っているので安心していいんじゃないかなあと思います。どうしても「いい子」を目標にしてしまいますが、正解なんてありません。
元気いっぱいの兄弟達はその子の個性で、手を繋いで買い物している子はその子の個性です。元気いっぱいエネルギッシュの子が「ちゃんとしな!」でちゃんとしたら、それはそれで「いい子すぎて」心配にもなります(羨ましいけれど)。
(あくまでも推測なので、もし本人達に「じっとするのがしんどくてどうしようもなく暴れる」のであればその環境を変えてあげなければいけないし、「じっとしたいのにできない」というような「しんどさ」があるのなら、それを解消するための支援が必要になってきます。)
『うちの子は10秒もじっとできないのですが、何か良い方法がありますか?』の答えになっていないので「結局怒り続けるしかないんかい!!」とガッカリされたかもしれませんが、少しでも前向きになるヒントにしてもらえたら幸いです。
-----おわり-----
返信の後、しばらくしてご感想をいただき、子どもたちとの様子を知らせてくださいました。
大切なことを僕の方が教えてもらいました。
これって、ぼくの回答が何かを与えたのではなく、この方がもともと持っていたものが、このタイミングでたまたま形になったんですよね。
保育でも子育て支援でも、何かを与えたり教えたりするのではなく、その人の本来持っている力を視点を変えることで見えるようにする役割でありたいなと改めて感じました。
誰かのなにかの支えになりますように。