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僕のタイ旅行記 2019年 第10回
2019年1月2日、この日僕はバンコクから西へ約35kmほど行った港町、マハーチャイに向かうために朝早くからBTSに乗って、マハーチャイへ行く列車が発着するウォンウェンヤイ駅に足を運んだ。
なぜマハーチャイに行こうと思ったかというと、単純にタイの国鉄に乗りたかったのと、バンコクの都会の喧騒に少し飽きてきたからだ。鉄道が好きな気持ちと、田舎に行ってタイという国の素顔をもっと見てみたいという気持ちが自分の中で大きくなったのも理由の1つだ。
というわけでBTSのウォンウェンヤイ駅で下車。ここからタイ国鉄のウォンウェンヤイ駅まではかなりの距離がある。幸いBTSの駅からしばらく屋根付きのベストリアンデッキがあったので、日差しを避けて歩くことができた。
大通りに差し掛かったら右へ曲がる。そこから真っ直ぐ向かうと、駅のあるウォンエンヤイ地区に到着だ。
マハーチャイまでの行き方
今回訪れるマハーチャイへ行く方法は1つ。
バンコクの西側のウォンウィエンヤイ地区の路地裏にある、タイ国鉄のウォンエンヤイ駅から、マハーチャイ行きの列車に乗って、終点まで乗って行くという方法だ。
駅のあるウォンウィエンヤイ地区は、観光客の姿はほとんどないバンコクの下町で、写真のような食べものや衣料品を売る屋台が集まる市場や、ビルマ軍を撃退しトンプリー王朝を設立したタークシン王の像がある巨大ロータリーがあり、多くの人で賑わっている。
ウォンウィエンヤイ駅のある場所は、その巨大ロータリーの近くで、なんて事のない路地裏のところにある。一応駅の入口には「ウォンウィエンヤイ駅」と書かれた看板があり、駅があることを前面にアピールしているので、場所を探して迷ったりする事はなかった。
しかし、
「本当にここに駅があるのか?」
と僕は半信半疑に思いながら、看板を頼りに路地裏の方に入っていった。
国鉄ウォンウィエンヤイ駅とはどんな駅なんだろう?
大通りの看板に誘われるままに入っていくと、なんとそこには駅のホームと線路があった。
プラットホームが日本と違って低く、単線1本の小さな駅。これが、マハーチャイ行きの列車が発着するウォンウィエンヤイ駅だ。
駅は日本と違い改札口が無く、自由にプラットホームにアクセスができる。そのため、ホーム上で何やら好き勝手に屋台を開き、商売する人がたくさんいた。中々驚く光景だが、この緩い感じがタイらしくて心地良い。売っている屋台飯は美味しそうだったが、残念ながら食べる勇気は無かった。
駅の周辺も、屋台や木造の今にも壊れそうな家もあって、大変カオスの雰囲気だ。上の写真だけ見ると、とても大都会バンコクの風景とは思えない。左側に写っているセブンイレブンがなんか場違いに見えてくる。(僕はちなみに、乗車前にここで水を購入した)
とりあえず列車に乗るために切符を購入する。切符はホームにある窓口兼事務所で購入可能だ。マハーチャイまでの料金はなんと驚愕の10バーツ!!!!(約40円!!!!)
マハーチャイまでの所要時間は1時間。こういうことはあまり比較すべきでは無いかもしれないが、日本だったら静岡から沼津まで行ける距離だ。(ちなみに990円)購入したチケットを眺めながら、
「こんな安くて本当に採算取れてるの?」
というちょっと余計な心配をしてしまった。
ここから余談だが、タイ国鉄の職員の服装は軍服のような出立で、なんだか近寄りがたい感じだった。だが、質問には親切に答えてくれるので安心だ。ただし、英語は話せない。
*もう1つこぼれ話: 駅の事務所の所に、巨大な釣り鐘を見つけた。列車の出発を告げる鐘である。思わず鳴らしてみたくなるが、鳴らしたらぶん殴られそうだったので我慢した(当たり前だ!)
マハーチャイ行きの列車に乗車
そうこうしているうちに、マハーチャイ駅行きの列車が到着。思ったほか乗客は多い。時刻表を見ると1時間に1本の割合での運行だ。大きい荷物を持ったりする人や、身軽な服装の人が多い。どうやらこの路線は沿線に住む人の生活の足として機能しているみたいである。
早速列車に乗車。入口は段差が激しく、バリアフリー完全無視の状態である。椅子はめちゃくちゃ硬く、しかもエアコンは無い。車内は蒸し暑く、全ての窓は全開になっている。
そうして、鐘が鳴り列車は発車。列車が走り出したら、大変なことに気付いた。なんと動いている電車が上下に揺れているではないか。これは列車を降りて気付いたことなのだが、よーくレールを見渡すと上下に歪んでいた。要するに、全く保線がされてない状態なのだ。
運賃が安くて、保線をするお金もないのだろうか?
日本ではありえないほど上下に揺れる列車に少し恐怖を感じながら、列車はマハーチャイへ向かっていく。
椅子は硬く、冷房は無いというかなり過酷な環境ではあるが、窓は空いているので、涼しい風はよく入ってくる。それがかなり救いだ。
列車はひたすらジャングルのような場所を走っていく。
途中駅も何個かあった。駅というより民家の真横の草むらのようなところに停車。そこで地元民が乗ったり降りたりしていく。この列車は沿線住民の生活路線として機能しているみたいだ。なんか、彼らのために無理矢理森を切り開いて鉄道を敷いたような感じに見える。
やがて列車は、バナナの木が生い茂るところを走っていく。木々が線路の方に出ていて、走るたびに枝がバシバシ当たっていく。バナナは窓から手を出せば取れてしまうくらいの距離にあった。
しかし、列車は早いスピードで走っているわけだから、うっかり窓から手や顔を出してしまったら、大事故間違いなしである。決してそんなことをしてはいけない。
マハーチャイ駅に到着
そんなこんだで1時間後、列車は無事終点のマハーチャイ駅に到着。遅れることも多いタイの国鉄だが、足止めを食らうこともなく、時間通りに到着した。
そして、この駅がまた強烈だった。
ここは、たった今列車に乗って通ってきた線路だ。線路の横には、市場が並んでいて、レールの横に売り物であろう野菜が置いてあった。日本の感覚からすると、食べ物を粗末にしている感じに見えてしまう。
駅前の踏切の方には、もう一本使われていない線路があった。なんと完全に線路の上に店を出しているではないか。もう昔からこうやって当たり前のようにしていて、彼らの中では常識なのだ。
線路の横をさらに探検すると、線路のほぼ真横に唐辛子が干してあった。レールとは少し離れているので、電車の下を通るものではないが、どんな人がこの唐辛子を購入していくのか疑問ではある。
こんな感じで市場のど真ん中にあるマハーチャイ駅。駅周辺はタイでも有数な魚市場でもある。
その街の模様は次回で紹介する予定。