ニューヨーク旅行記 【なぜ?】原因不明の腹痛に悩まされる
それは、ニューヨーク生活3日目の朝のことだった。
この日朝起きると、いきなり強烈な腹痛が僕を襲った。
「一体何が起こったのだ?」
そう思いながら僕は朝食会場に足を運んだのだが、全くフォークを持つ手が動かない。胃が食べるものを拒否しているようで、少しは食べたが汚い話、数分経つとトイレで戻してしまった。
ニューヨークまでやって来てこんなことになるなんて、とパニックになりながら、なぜこうなってしまったのか原因を分析してみた。
あれは昨日の事、ウォール街を見物した後、僕はイーストビレッジに足を運び、かなり濃いめのアイスクリームを平らげた。その後、グランドセントラル駅に行った僕は、駅構内にあった大手ハンバーガーチェーンのシェイク・シャックでハンバーガーセットを食べた。ドリンクは糖分たっぷりのコーラである。
その後、宿泊していたホステルのイベントでナイトクラブに行く事になり、僕はそこで安いジャマイカビールを2杯飲み干した。
こうしてみると、原因は3つ。
①慣れないアメリカ料理をかなり無理して食べた
②その日が8月なのにかなり冷え込んでいた
③多少の時差ボケ
この3つが原因ではないかとの結論に達した。
つまり、食べるものを抑えていれば回避できたのである。
これは30代後半にもなって、かなり無理のある食べ方をしてしまった自分の責任だ。アメリカの食事は、カロリーが高いことは分かっていたのに、自分から墓穴を掘ってしまたのである。
それにしても、今まで経験したことがないくらい腹が痛い。まるでカウンターパンチを何回も打たれているような気分だ。
部屋に戻り、とりあえず横になってみる。日本から下痢止めの薬を持って来たので、飲んでみることにした。しかし、アメリカで発祥した腹痛に効くのだろうか?疑問に思いながらもとりあえず飲むことにした。
本来であればこういう時、寝て安静にしていた方が絶対に良い。だが、ニューヨークの滞在期間は6日。しかも飛行機のキャンセルで1日潰れているわけだから、貴重な1日を無駄にしたくなかった。
足元をふらつかせながら、必死の思いで地下鉄に乗車。とりあえずチェルシー地区に足を運ぶことにした。
チェルシーマーケット
最初に紹介するのは、チェルシーマーケットである。
チェルシーマーケットは、マンハッタンの西側にあるかつて市場だった建物を改装したショッピングモールで、美味しいレストランや人気のショップが立ち並ぶ。
サンドイッチやベーグルを販売するカフェ、チョコレート、雑貨類など、高いレベルのお店が軒を連ねている。
これだけ美味しいお店があるのに、こちらは病気状態。とてもここで食事を楽しめるような体調ではない。
「なんでここに来たの?!」
とツッコミを喰らうかもしれないが、僕の本当の目的地はその先にあるハイラインという空中庭園である。
市場を歩き、ハイラインにアクセスできるエレベーターに乗車。苦労しながらようやくハイラインに到着した。
チェルシーハイライン
エレベーターに乗って辿り着いたのが、こちらのチェルシーハイラインである。
2009年に、廃止となっていた高架鉄道の跡地を公園として再開発して完成した、全長2.3kmにも及ぶ空中庭園だ。
元々ここは1933年に完成し、荷物輸送の為の貨物列車が走っていたのだが、鉄道事業の収益悪化に伴い1980年代にあえなく廃線。その後しばらくは放置されたままになっていて、一時期は邪魔者扱いされていた。
そんなイメージを払拭するためにニューヨーク市は再開発を決行。線路のところに植物を植えてその周りを遊歩道にしたり、線路たった時代を残してその場所にアートデザインを展示したりして、誰もが気軽に楽しめる場所へと生まれ変わった。
やがて世界でも珍しい高架橋を使用した自然公園が完成した。
自然あふれる高架橋とマンハッタンのビル、こうして見るとこの2つ、コントラストが実にマッチしていて美しい。
公園にはベンチや芝生など、座るところも多く、体調の悪い僕は何度もそこに腰掛けながらハイラインを見学した。せっかく素晴らしい景色を見れているのに、腹痛に苦しんでいるとはなんとついていないんだろう。
ハイラインからエンパイアステートビルディングを眺める。緑の植物とレンガの建物、そして高層ビル街。この3つは予想以上に映えた。
しつこいようだが、体調がよければもっと楽しめたと思う。
グリニッジビレッジ
続いて訪れたのは、グリニッジビレッジという地区である。
並木道の美しいこの地区は、数々のお洒落なレストランやショップが立ち並ぶ地域である。
観光地として有名な、ワシントン・スクウェアパークまでも歩いて近い距離にある。
グリニッチアベニューと7thAveの交差点の近くには、ニューヨークを代表するジャズクラブのヴィレッチヴァンガードがある。
ジャズが好きな人にはお馴染みの場所だ。
また、この地区にはかつて世界中で人気を博したドラマ「Friends」のキャラクター達が住んでいる設定だったアパートメントがあって、ちょっとした観光地となっている。
未だ腹痛に苦しんでいる自分であったが、時間を無駄にしたく無いので、痛いお腹に手を当てながら必死で歩く。
ちょうどこの時お昼の時間帯。気がつくと目の前には、美味しそうなピザのお店があった。しかし、今の僕にとってピザを食べるのは拷問に近い。
匂いは最高だったが、泣く泣くピザを諦め、自分にベストなお店を探す。
迷った末に、なんとかこの状況でも食べれそうなお店を発見した。そこはかなり高級そうなベーカリー。もうお店の名前は忘れてしまったのだが、あらゆる種類のパンが売られていた。
パンは食べれそうにもなかったので、僕はシナモンをまぶしたお菓子2つとクロワッサンを注文し、近くの公園のベンチで食べた。
美味しそうに見えたのだが、食べても全く味覚を感じない。本来すごく美味しいものだと思うのだが、僕の胃袋は謎のウイルス?のせいでほとんど菓子を寄せ付けず。
おまけに、お菓子にまぶしてあったシナモンの量が多すぎたことで手がベトベトになってしまった。
不幸はこれだけでは無い。近くにいた3羽の鳩が、お菓子の袋目当てに僕に襲いかかってきたのだ。必死で払い除け、袋をゴミ箱に捨てた。
全く情けないことである。腹痛に苦しめられる+鳩に襲われるという、日本では体験したことない屈辱。人として本当に情けない。
ランチは全く楽しめなかったが、幸いこの直後にスーパーで購入したオレンジジュースは問題なく飲めた。
エネルギーを補給して、再び観光を再開。どこへ行こうかと考えていた時、あのニューヨークの象徴が頭に浮かんだのである。