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『幻燈』を読み終わった後は。
まず感じたこと。
すごく正直に言ってしまえば、今回の作品は「手間がかかるな」と感じた。わざわざ自身のWebブラウザから飛ばなければいけないし、その上で音楽を再生するためには絵をひとつひとつ読み取らなければいけない。それを些か面倒に感じた自分がいた。
でもこれはn-bunaさんなりの、現代に取り巻く音楽観へのアンチテーゼなのではないかとも思った。レコードジャケットほどの大きさがある画集で、タップひとつで再生できるストリーミングサービスなどとは違い、一曲聴くのに手間がかかる。否が応でも、曲と1対1で向き合わされる。私たちは大きな余白のあるページに並んだ歌詞にじっくりと目を向けることになる。
ある種、ルネサンスのような、古きに回帰しようとする試みなのではないか。ルネサンスはフランス語で「再生」。
ダブルミーニング的に、「音楽の再生」をテーマとした作品のように感じた。
と、まあそんな堅苦しい雰囲気はここらで捨て去って、ここからは率直に曲の感想を述べていきます!!いえい!!
夏の肖像
タイトルのままですね。頭の中にある夏の光景がそのまま象られたような楽曲です。
射す陽の眩しさ、風にさざめく青葉、静かに煌めく水面。そんな情景が浮かびます。
都落ち
もうねぇ、大っっっっっ好き。こんなにも春の陽気を感じられる曲作れるのすごい。
「んんんっ」喉の調子を整えるsuisさん…𝑩𝑰𝑮𝑳𝑶𝑽𝑬———.
最初に「焦がれ舟」とかいう表現した人、早く出てきてほしい。国民栄誉賞あげたい。
ブレーメン
いつ聴いても良いんだこの曲。これを聴くと足取りが軽やかになって歩くのが楽しい😌
説明するまでもなく大好きです
チノカテ
「全部を読み終わったあとはどうか目を開けて」
この「全部」が「私」を指していると。うーん、わからない(AHO)
私にはこの曲の穏やかさしかわからない。
雪国
いやこれマジでやばい(語彙力)
ヨルシカが今までも披露してきた「引き算の美学」の究極形なのではないでしょうか。この余白と最小限の音数でここまで心揺さぶられるの、suisさんの歌唱力の高さを強く実感させられますね…
月に吠える
あ〜頭蓋がアイスピックでやられちゃった〜()
全体的に優しい雰囲気を醸し出しているアルバムなので、その中でも冷たい雰囲気を纏う2曲が並んでいるのはいいですね。
451
なぶなぶ兄やん… すき。
歌詞とかn-bunaさんの声とかもそうなんですけど、特に間奏がめっちゃ好きなんですよね。
家が火事になっても、幻燈だけは燃やさせません。
パドドゥ
個人的に今回のアルバムでは1番好きかもしれない。これ絵が完璧じゃない??
カラッと晴れた夏の原に白い雲が昇っている。その下で男女が手を取り合って踊っている、というのが曲の空気感に合いすぎてる…
伴奏だけでなんでこんなにも胸が締め付けられるんだろうな。不思議なくらい。
トレーラーで聴いたときは、三拍子のパートが曲のド頭にくると思ってたんですけど、まさかそんな挿れ方してくるとは…
てかsuisさんの歌い方の引き出し多すぎね?
又三郎
どっどど どどうど。
結構久々に聴いたけどいいっすなぁ… ライブでも聴いてみたいであります。
「青いくるみも…」の荒い裏声とか大好きです。
靴の花火
『前世2023』で聴いたやつですね!!ピアノの音色がかわいくて好き… 爆弾魔よりもわかりやすいリレコなので、これはどっちが好きかの派閥わかれそうだ🤔
ラスサビのハモリがよすぎる… どちらもの声が褪せることなく綺麗に混じり合っていてほんとに素敵。
老人と海
「想像力という重力」この歌詞を初めて見たときの驚きは忘れられませんね…
なんだってできる自由なイメージが付き纏う「想像力」というワードを「重力」と喩える。すんげ。
さよならモルテン
「実は自分が特別じゃないとただ知りたくないだけで」「大人になっていくことを少しも知らない顔で」
はぁ… 公園ではしゃぐ無垢な子どもを見たときに湧き立つあの感情。「君はそのままで、大人になんてならないでいいよ」と思うのと同時に「色々なものを呑み込んで大人になった君も見てみたい」と思ってしまうアレ。
ガチョウの鳴き声みたいなハミングはかわいいし、舞台はスウェーデンみたいだし。
なんだかすごく胸が苦しいです。暖かさと切なさが同居していてよくわからない。
いさな
勇魚。それは鯨のことで、2番終わりの間奏でも鯨の鳴き声が表現されていますね。あそこの、海底を想像させるような音、怖いけど神秘的で大好き…
めちゃんこに切ないですが、ヨルシカのバラード曲の中で1番好きです。海の広さ、そこから見上げる屈折した日差し。こういう曲を聴いていると遠くを見てしまいますね。
あと、歌詞の「ノーチラス感」すごくないですか?なにか関連性があるとしか思えなくて。私は考察は苦手なので、みなさんの考察を待ちたいと思います。ガンバッテ
左右盲
切ない2連続。
この絵ほんとに好きだなぁ。奥行きが凄まじくて、ぱっと開いたときにおお…と少し圧倒されました。
セカコイもう一回見ようかな。
アルジャーノン
切ない3連続。畳みにきてるな…
あまり気楽には聴けない曲です。なにが胸に刺さっているのか、自分でもわからないのですが、聴いていると長い時間の流れをイメージしてしまって、走馬灯のように過去が浮かびます。それがどこか苦しくて、なかなか冷静には聴けないですね。
第一夜
これまでのヨルシカを詰め込んだみたいな曲。
歌詞の一節一節に、今までの楽曲たちの影が顔をのぞかせるような、そんな曲ですね…
「夜明けと蛍」や「ラプンツェル」感もうっすらと感じて、繊細でありながらも壮大で、でも日常的で。好きだなぁ。
そしてさよならモルテンでもまた登場しましたが、「あの丘」。ノーチラスや歩く、逃亡など、今までのヨルシカの曲に度々登場します。「バス停」や「百日紅」と同じように、前世を示唆するもののひとつなのでしょうか。
と、まあざっとこんな感じですかね。
いや〜素敵なアルバムですね。いろんな方と感想を共有したいけれども、まだ言わない方がいいのかなとも思ったので、noteでの投稿となりました。
また皆さんの考察だったり感想だったりを聞かせてください☺️
ここまで読んでくださり、どうもありがとうございました。