噛ませ犬ごはん (ショートショート)
愛の神エロスに仕える噛間瀬犬子と当手馬子は、戦友だ。
エロスから出された名前の行動範囲に応じて出没し、愛の告白をする。相手が男性の場合、その時の犬子は醜く不潔な女だ。断られるがそれでよい。愛の噛ませ犬として、男性としての自信を持たせるのが役目だから。
次は馬子にバトンタッチ。
馬子は男性が愛する女性に擬態して近寄る。犬子のおかげで自信をつけた男性は、馬子に近寄り話しかけられるようになる。やがて馬子は身を引き、男性はそれと知らずに本命の女性に真剣にプロポーズする。女性は応じこれでやっと一組の夫婦ができる。
エロスは毎度犬子と馬子に愚痴る。
少子化は進むばかり。神はもっと子孫を増やせっていうが、今の時代は異性同士で子孫を創ることが至難の業だ。だからこんな回りくどいやり方をせねばならぬ…
犬子と馬子は顔を見合わせて肩をすくめる。それからエロスからもらったハート型のチョコをかじる。
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