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ビールの審査会IBCに行った話(前編ブログ調)

10月11〜13日の3日間、ビールの審査会に審査員として行ってきた。

International Beer Cup、全世界のビールが対象の国際大会の内、
日本地ビール協会(Craft Beer Association)が主催し日本で行われる審査会。
1996年スタート、世界で3番目に古い国際大会で、毎年開催される会としては最も古い審査会。
コロナがあり中止になった年もあるが2023年は石川金沢で開催(ビア検にも出題された問題)
今年は10月11~13日に北海道札幌にて実施。
20ヶ国、ジャッジ92人。過去最大規模だったそうだ。

今回の傾向としてはご覧の通りアジアの出品が多かったが、これはKorea International Beer Awardの協力があったからである。
去年と同じくSPRING VALLEYが多くの賞を獲得。その裏で日本勢は大阪万里春、山梨Nori’s Beerの躍進が目覚ましい回となった。

常連のハーヴェスト・ムーン、麗人諏訪浪漫などは多岐に亘り、
富士桜ラオホ、Repubrew69IPAなど個別銘柄の名作もランクイン。

旅程

空港まで

以下はブログ調になるが、前日から札幌に向かうまでの物語↓

10月10日。夜。
前日のであるこの日23時まで私は仕事があり、いまだ飯田橋にいた。

札幌のばんけいスキー場に集合は11日の10時。
最も早い飛行機を予約したが、事前に調べてみると、
なんとその成田発の飛行機に乗るための始発の電車が間に合わない。
なんとか成田に近いギリギリまで寄って現地に泊まろうかとも思ったが、

ダメなのだ。

船橋あたりまでしか夜の間には行けず、そこに仮に泊まって始発の電車に乗っても、飛行機の登場時間に間に合わないのだ。
成田の壁を超えるには電車ではムリ…

飛行機の予約を取ってから気付いたが、どうやってもたどり着けない。
コロナで成田行きの深夜バスは廃止されてしまっていたらしい。
そこで調べに調べ尽くして見つけた「ニアミー」というサービスを使うことにした。
なんでも空港行きの相乗りワゴン車を時間を問わず予約できるらしい。
アプリから申し込みをする。
夜中の2時台に配車が出来た。(まじか)
安い相乗りと貸し切りが選べるみたいだけど、この時間に乗る人なんかほぼいないだろうから相乗りで十分やろ(せやな)
一旦帰宅し、最終身支度を整えて乗降場所で時間を待つ。
…来た(本当に来た)

…ってワシ以外に既に3人も乗ってるやないかい!笑

初めてのことに戸惑いつつも、空港に朝5時前に着くのは有り難かった。

無事に着けた成田空港。朝日に希望を感じた。笑

スキー場まで

無事に飛行機に乗り込んだ。
さて、次の問題だ。集合10時ということは、睡眠時間がほとんど確保できないということである。
ニアミーの車の中で多少寝れたが、2時間程度。
揺れるし飛行時間が2時間ほどなので当然そこでもなかなか寝つけない…

そんなコンディションだが新千歳空港には着いてしまった。正味3時間ないくらい?これから多くのビールを飲むというのに。
が、到着してからも更に、最大級の問題が…

実は現地に住む方に指摘され気づいたのだが、最も早い時間に空港から電車で移動しても、会場のばんけいスキー場には間に合わない、らしい。
このコンボ、本当に参った!笑
が、なんと札幌にUターンしていた知り合いが、空港から車で送ると申し出てくださった…!
(更に更に、それでもギリギリ10時には間に合わないことが判明したのだが、それでも2時間運転してくださった。Hさん、大変感謝しております…あのときお世話になったビールクズです…)


およそ2時間後。10月11日朝の10時ちょっと。
私は北海道のばんけいスキー場にいた。

だが、たどり着いたスキー場には人気がなかった。
「…え?まさか間違えたか?違う会場なのか?」
最悪の想像が我々によぎる。

シーズンオフのスキー場の広大な原っぱ

そこへ、スタッフっぽい色の服の人を発見!
Hさんに感謝を告げ急いで鉄砲玉のような速度でロッジの中へ飛び込む。



…スタッフはいたが…審査員が誰も…いない…

遅刻しているのに自分以外誰もおらず、頭の中は「?」でいっぱい。

「おぉ、だーすーさん!」

と声がした。

「市内のホテルからのシャトルバスが遅れてるんですよぉ〜」

と、見知ったスタッフの方が発した。
瞬時、緊張の糸が切れ、笑いが出た。ははっ
遅刻してるのに、一等賞だァ…
安堵で息が漏れた。

かくして10分後、会場は世界中から集まった審査員たちのブルーのユニフォームで埋め尽くされた。

審査会

さて、そもそもビールの審査会とはどういった進行で行われるのか。
一般的には知られていないが、それもそのはず。
審査員には守秘義務がある。
審査会場内部や、審査で知り得た情報をみだりに漏らしてはいけない。
当然だが、受賞結果に不正があってはならない。
結果如何では人の人生をも左右するという自覚を持ち、信用され選ばれてその場所に皆立っているのだ。

とはいえ、審査中の写真は後日Facebookページで公開されるためどんな審査員が参加していたかは容易に特定できるし、
審査外の懇親会などでは撮影も可能ということを鑑みて(大っぴらにではないが伝えられる範囲で)審査の基本的な内容をお伝えしよう。

・審査はグループに分かれて行われる
・ビールはブラインドテイスティング
・数人でテイスティングの後、ディスカッションが行われる
・意見を出し合い擦り合わせ、最終判断をする

色々伏せて簡略的にまとめたが、銘柄がわからないようになっていること、
一人では意見に偏りが出るので合議を採ること。

この2点だけでも知ってもらえたら幸いである。
世の中には様々なタイプな審査会、審査員もいて、審査自体に懐疑的な立場である業界人も少なくはない。
色んな反応があって然るべきだが、このようにして公平性を保っていることだけは、もっと知られてほしい。

眼前に広がる緑の絨毯を見て、昼休憩では多くの外国人審査員が原っぱの上で弁当を食べていたのが印象的だった。
懇親会は非公式なものを合わせると前日からほぼ毎日開催されていたが、参加はすべて任意。
宿は札幌市内のホテルを運営が押さえてくれている。
しかしまぁ、私は眠気と戦いながら終えたが、審査後でも懇親会→札幌の名店巡りに連日繰り出す外国人たちのタフさには驚きを禁じ得なかった。
以下、どうしても自慢したい、レジェンドたちとの写真。

with Mark Meli
with Charlie Papazian
with Jessica Malteza

夜の札幌

懇親会後は、公式の催しは終了なので各自の名店巡りが始まる時間。お楽しみタイムだ。
しかし審査会は3日間だが、自分は3日目に帰りのフライトに乗るためスケジュールはタイト。
一番眠い日に一番回る必要があった。

懇親会後に市内を徘徊する

札幌に来たら絶対に行きたかったのはMaltheads。

at Maltheads
Michael Jackson's signature
Perfect Sapporo Classic

そして麦酒停。

at Mugishutei
Deadstock cans
Historical museum lol

結局初日は3時まで飲み歩いて翌日軽い二日酔いに。笑
翌日もハードな審査になったとさ(自分のせい)
後で知ったけど、こんな旅程で来てるのは自分だけで、ほとんどの人は前日から泊まり込んで札幌を満喫していたらしい。
そんなに連休取れないよ…笑

3日のフライトの直前の時間にStreetlight Brewingへ。

札幌市内から電車で数駅
タンクが見れるのは嬉しい
Thanks everyone

終わりに

守秘義務があるとはいえ、すべてをブラックボックスに入れてはビール業界への正しい理解も進まないのではないか。
素晴らしい受賞ビールの知名度向上の一助になればと思いこの投稿をした。
審査自体の感想は後編(有料の予定)で。

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1Dozen
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