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隣にいること 4日目
何かしなければと気負いすぎてしまうのは
今日に意味を持たせたいからだ。
今日、一緒にいた意味を探そう。
隣にいるだけで、なんて綺麗事は
不自由なく隣にいる時には言えない。
あなたが寝て、1人になって、
あなたの寝顔を見て、静かに思うから。
隣にいるだけで。
8時。
目が覚めると、隣に彼がいる。
彼は今鼻炎がひどいらしく、
苦しそうに寝息をたてる。
ひとまず起き上がって、薬を飲ませた。
楽になりますように。
昨日は私が先に寝てしまった。
ゲームをしてすぐ、パタリと。
寝る前のおやすみなさいも多分言えていない。
寝る前に頭を撫でてくれたことだけ覚えている。
今日私は午後から大学がある。
彼は1日休みだから、家にいるはず。
行きたくないけれど、仕方ない。
彼はまだ寝ている。
寝ているのに、ベッドから出ようとすると離して貰えない。
隣でされるがままになる。
朝方はいつもこう。これがしあわせ。
しばらくそうしていると、休講の連絡が来た。
これで1日彼と過ごせる。
嬉しくて嬉しくて、思わず起こしてしまった。
彼は寝ぼけてよく分かっていなかったけれど。
お腹が空いたので、ほぼ昼ごはんの朝ごはんを作る。炊飯器を開けると、お釜は空っぽ。
しまった、炊き忘れた。
よくしてしまう失敗だけれど、未だに学ばない。
慣れが日々を作る。こういう日はいつもパスタだ。
具材を探そう。
いつかの私が野菜やきのこを切って、ひき肉もパラパラに冷凍してくれていた。
朝はまな板も包丁も使いたくない。
いつかの私、いつも助かります。
ということで今日はワンパン和風パスタにする。
ひき肉、えのき、玉ねぎをニンニクとごま油で炒めたら、
そのまま水を入れて沸騰したら塩を入れてパスタを茹でる。
水気がなくなってきたら白だしを入れて汁気を飛ばす。最後に塩昆布と粗挽き胡椒をあえて完成。
なぜか今日はやたらに美味しくできた。
麺はアルデンテ、味付けはバッチリ。
レシピも味付けも決まっていないから、
二度と味わえない希少性も相まっている。
おなかいっぱいになって、ゲームをダラダラしていたら、すっかり15時になってしまった。
せっかくのお休みに何も出来ていない。
なにか楽しいことは無いかと考えあぐねていたら
彼がお団子を食べたいと言い出した。
お餅が食べたいらしい。
老舗のおいしいお団子屋さんは早くに閉まってしまうが、近くに夜にやっているお団子屋さんがある。
まだ開店までは時間がある。
出かけるついでに、
近くだけれどまだ行ったことのなかった
ショッピングモールにいく。
彼も私もゲームセンターが大好きだから、
それを目当てに。
今の家にはもう5年住んでいるけれど、
行っていない場所が時々見つかる。
電車で一駅、駅からも近いからすぐに着いた。
平日の夜だから人は少ない。
何があるかもわからないから、
とりあえず一階ずつ見て回る。
特別気にいったお店はないけれど、
ないと困るお店は全て見つけられた。
たまに来るには丁度いい具合のところだ。
お目当てのゲームセンターは一番上の階にあった。
子供向けらしいメダルゲームが多い。
私たちはUFOキャッチャーをよくするけれど、
子供向けのメダルゲームも大好きだ。
大人向けはメダルが減っていく一方でも
子供向けはちゃんと増えるし、何より単純で面白い。
お腹がすいたので、まずはアンパンマンのポップコーンを食べる。
ぐるぐる回すハンドルには意味がないからと、
必死で回さない大人にはなりたくない。
手が痛くなるくらい回した方が絶対に美味しいと信じている。
ポップコーンを食べ終わると、いつの間にか1000円ほどのメダルを握りしめて、遊んでいた。
最新のゲーム機は
ルールについていくのが精一杯だ。
ボタンはまだ必死に叩いてもいいのだろうか。
あっという間にメダルも底をつき、帰宅することにした。
すっかりお腹も空いたので、少し飲んで帰ることに。
2人でいるとついつい節約が後回しになる。
散々お腹いっぱいに食べたけれど、
もちろん、お団子屋さんにも行かなくては。
お団子と大福を買って家に帰る。
さて、食後のティータイムだ。
今日のアドベントカレンダーはライチティー。
私はライチが少し苦手だ。
お団子との相性もどうだろう。
なんだか、甘く爽やかだ。
ライチがお茶を全く否定せず、寄り添うように香る。
予想外にとても美味しい。
まだ3杯目だが、今のところ一番。
お団子には合わないけれど、
チョコレートだったら香りが台無しだったかもしれない。
彼にはほうじ茶をいれた。
お団子には日本のお茶がいいみたい。
ティータイムが終わってお風呂を沸かしている間に彼が先に寝てしまった。
明日は朝早くから仕事がある。
彼が起きる時には私は出かけているだろう。
そして私が帰る頃には彼はいない。
そう思うと寂しいけれど、
明日の朝は早く起きて
せめて、1人で起きて1人で出かける彼に
美味しいご飯を用意してあげられますように。
それではおやすみなさい、また明日。