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49.振り返ると優しさに溢れて

先日、メニエール病の症状を発症してから、時が経つのが早くて、もう一月も終盤に。ご心配いただいたり、症状についてのアドバイス等をいただき、本当にありがとうございました。あれから、少しでも無理をしないように穏やかに過ごしているつもりで、適度なお散歩、耳周りのマッサージをしながら、症状は出現せずに過ごしております。体調を優先させつつとはいえ、お仕事も家事もありながら、今日は久しぶりに一人の休日。朝から気になっていた場所を掃除したり、大好きなスピッツの曲をもうずっと一日中流していたり、ちょうど昨日に届いたファンクラブの会報を読んでいたり。郵便局に用事があったついでに、ふらふらお散歩したり。久々に日差しが出ていたこともあり、日光浴をしているような、太陽の光を浴びると気持ちが前向きになるって本当だなぁ、と思った。

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先日、職場であった話。
年下の新入社員の女の子が、私の属する実店舗へお手伝いにきてくれた。
人手不足で休憩を回すことができず、別の部署に配属されているにも関わらず、接客の応援として。私よりも勤務日数が多い上司が、彼女と先に会っていたので、事前にどんな方か話を聞く機会があった。どうやら、おとなしい感じの女の子で、あまり話が得意ではなく、接客には不向きという印象であったらしい。業務上でも覚えが乏しく、あまり期待していないという、もはや陰口のような良い印象を持っていないということを伝えられた。実際に私と二人でシフトに入る前日、上司と業務の考慮をして、彼女の負担にならないよう、難易度の高くない仕事をお任せするよう計画を立てていた。

当日、初対面となる彼女がやってきた。
確かに声が小さくておとなしい印象で、年相応の女の子。初対面の印象はそう感じたことと、人の目をちゃんと見て話ができる人。それからお任せしようとしていた仕事を任せ、ほんの十数分で終わった頃。上司から聞いていた印象よりも、私は彼女に対して好感を抱いていたので、ちょっと世間話をしながら距離を縮めてみようと試みた。控えめな印象はそのままで、だからこそ、時折見せる笑顔が際立った。きっといい子なんだろうな、初対面の印象はおそらく間違っていないと確信に変わった。それから、商品に付けるPOPを描いてもらうことを依頼した。以前、上司にPOP作りを依頼してみようかということを提案したが、「あの子には難しいかな」と、返答があった。実際に話してみて、手先を動かす作業が好きだと言っていたので、急遽お願いすることに。

すると、なんと可愛らしいPOPを描いてくれたこと!
今まで上司や私は絵心がないと、文字の装飾程度のPOPしか描いてこなかったのに比べ、商品に合うイラストを上手に描いてくれた。お客様の目を惹くPOPは華やかでこそ。なんだか、彼女の得意分野や魅力を活かせるよう業務を振れたことに、とても嬉しくなった。「絵が得意なんだね、きっとお客様の目を惹いてくれるとても良いPOPだよ、ありがとう!」そんな感謝を伝えると、照れくさそうに笑っていた。

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その姿を見て、はっとした。
私が彼女よりも若い頃に勤めていたお店で、顧客へのダイレクトメールやそれこそ同じようなPOPなどを任せていただいた時、お世辞にもプロには叶わない素人の絵であったにも関わらず、当時勤務していた先の上司は私のことをとっても褒めてくれた。その時の上司の気持ちとなんだかリンクしたようで、一人、レジに立ちながらちょっと涙が溢れそうになった。優しさと、若い子の芽を育てよう、意欲的になってもらおう、そんな思いやりに溢れた褒め言葉だったんだろうなぁ、振り返るとたまらなく胸が熱くなった。すごくお礼を伝えたくなったし、若い子たちがいい仕事をできるようにサポートできるような人間にならなければ、と思った。なんでもない日常の中で、久しぶりにはっとさせられたこと。なんだか、ありがとう、という気持ちになった。

おわり

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