はじまりは鹿児島から
鹿児島に出張した。初めての地に胸は躍った。だが、駅に着いた時の印象は期待外れだった。駅前の風景はどこも同じで、ちょっとしたモニュメント(維新志士たちの像)があるぐらいで大差なかったからだ。よく見慣れた店舗が入った大型商業ビルと百貨店が軒を並べていた。鹿児島の地に立っている実感が湧いてこなかった。ここが本当にあの鹿児島なのかと目を疑った。はるばるここに来た感動が消え失せてきていた。
だが市内各所を訪れ(鑑定士は役所調査も重要なので市役所や県立図書館にも足を運びます)色々な人と接してみて徐々に鹿児島を実感していった。方言に温かさがあり、のんびりとした話しぶりにもほっとさせられた。タクシーの運転手やホテルの受付の人の笑顔に元気をもらった。みんなほのぼのとしていて、目鼻立ちや表情にどことなく西欧の雰囲気を醸し出しているようにさえ感じられた。街並みにも異国情緒がほんのり漂っていた(のちに訪れる長崎にも同じ雰囲気を感じるのだが・・・)。
市内には、西郷隆盛や大久保利通の記念像スポットが点在し、ザビエル公園(のちに訪れる山口市や長崎市にもザビエルにまつわるスポットを見つけることになる・・・)からもほど近い。歴史の宝庫で興味深い。
やっぱり路面電車のある町は素敵だ。車窓からの街並みは身近で風情があり親しみを感じさせる。地名(「天文館」など)にもどこか品がある。
そして、その思いは郊外に赴くと益々強くなった。
こんもりと青く茂る木々の躍動と、ゆったりと流れる川、そして海の向こうにそびえる桜島。これが、あの桜島か。雄大だ。特に朝方の桜島の煙は勇ましい。その大きさに平和な日本をしみじみと実感した。
ここまで来て本当によかった。のちにまた訪れることになるのだが・・。