私がキャラクターデザインを依頼された時の作業の様子について
こんにちは、イラストレーター兼Live2Dデザイナーの一束(いつか)です。
今回は、私が(主にVtuber用の)キャラクターデザインを依頼された場合に、どんな風に作業を進めているかを紹介したいと思います。
と言うのも、「キャラクターデザインを頼みたいけど、どういう風に進めているのか分からなくて不安」だったり、単純に「どうやってるの?」と疑問に思われている方がいらっしゃるのではないかなぁと思ったからです。
特に前者の場合、まだ形のないものに安くない金額を払うことや、理想と違うデザインが返ってきたらどうしよう…と言う心配があると思うのです。
それはとても当然のことで、私が逆の立場だったとしても同じように感じます。だから、実際にお問い合わせやオーダーを下さる方には本当に頭が下がります、メールする瞬間って結構怖いと思うから。
この記事が、「オーダーしてみたいな…」と考えてくださってる方にとって、安心材料の一つになれば嬉しいです。
※内容は個人の方からのご依頼の場合になります。
※企業様とのやり取りは、先方に合わせて対応しております。
1:制作の流れをお知らせする
私に問い合わせをすると、まず最初に結構長いメールが返ってきます。
内容は、ご挨拶とお礼、見積もりから納期、制作の流れ、使用可能範囲、デザインについてのヒアリングなどです。トラブル防止のためにもこの辺は割と丁寧に記載しています。
そして、以下が実際にメールでお送りする「制作の流れについて」の項目(モデリングまで含む場合)です。
▽制作の流れについて
(1)キャラクターデザイン案の提示・修正
→ 三面図を納品
(2)モデル用イラストの制作・修正
→ モデル用の静止画を納品
(3)Live2Dモデルの制作、(サンプルによる)動作確認
(4)お支払い
(5)モデルデータのお渡し
ポイントはお支払いのタイミングでしょうか。
私は基本的には、着手金や前払いはいただいておりません。
これは単純に、
・高額商品だからこそクライアントの不安を減らしたい
・振込手数料を(複数回)ご負担いただくのが忍びない
・先にお金もらっちゃうと私がプレッシャーを感じてしまう
・仕様変更があった場合にややこしい
・(お互いの)事情によりキャンセルとなった時にややこしい
からです。
(ただし、点数が多い場合や金額が大きい場合、もしくは「分割払いを希望されている」場合などは、この限りではありません。)
2:ヒアリングをする
クライアント様に制作の流れやお見積もりをご確認いただいた流れに続いて「どういうキャラクターを希望しているのか」を伺います。
と言っても、「具体的に言葉にしにくい」ということもあるでしょうし、参考資料として既存キャラクター画像を送っていただいた場合も、それだけを頼りにするとそのキャラクターに寄ってしまう恐れがあります。
ですので、こちらが知りたい情報を箇条書きにてお尋ねしています。
それがこちら。
▼キャラクターデザインについて
(1)性別:男性/女性/中性的・不明
(2)年齢:おおよそでも構いません
(3)髪・瞳の色:
(4)肌の色:色白/普通/褐色/その他
(5)体型、身長:細身、小柄など
(6)髪型、服装の好みや特定のアイテム:
(7)好きな色:
(8)性格:
(9)その他設定:職業や肩書き、世界観など
(10)具体的な用途:
※用途に合わせて使いやすいよう微調整を加える場合があります。
(11)使用ツール:Facerig/Animaze/VtubeStudio
「髪型、服装の好みや特定のアイテム」については、好きな服や方向性、ブランド等をお知らせいただく程度です。これを足がかりにして資料を探していきます。
また、すでに原案やラフなどお持ちの場合はご提供いただくようにお願いしています。
3:資料集めとアイデア待ち
ご返信をいただいたら、お知らせいただいたブランドのサイトを見たり、設定から連想されるパーツをひたすら画像検索します。「それっぽさ」と「オリジナリティ」の丁度いいバランスを模索します。
また、クライアント様の既存のSNSのアカウントをお知らせいただいた場合は、そちらも拝見して、言動や好みを出来るだけ把握します。
あとはメールの文章の書き方なんかもキャラクターの参考にする場合があります。
とにかく使えそうな情報(や、使えなさそうでも目についたもの)をなるべくインプットしたら、あとは2週間ぐらい頭の中で寝かせます。つまり、イメージがある程度の形にまとまるまで具体的な作業はせず、ボヤ〜っと脳内で思い浮かべている状態です。
とは言え、何もしないわけでもなく、日常生活の中で使えそうなアイデアやデザインがないか常に意識しています。具体的な他の作業をしていない時は、意識の端っこでいつもそのキャラクターの事を考えている状態です。
私の場合はこの期間が結構大事で、こうすると、大抵は2週間前後でピンとくる瞬間がきます。
ある日突然「あっ、これだ!」とキャラクターのイメージがまとまるのです。(ちなみに、そういう時にすぐに描けるように、あらかじめキャラデザ用の白紙データを作成してPCとiPadでデータ共有しています。)
ここまで来ると後は結構早いです。
4:ラフを起こして擦り合わせ
イメージが浮かんだら、急いでラフの作成に移ります。鉄は熱いうちに打つべし。
作業をしていると、ぼんやりしていた部分もしっかり形になってきます。最初に思い浮かんだイメージと違ってきてしまう場合もあるけど、それはそれで。
そしてある程度方向性が見えてきたら、
・希望されている要素が入っているか
・用途や世界観とマッチするか
・シルエットやアイテムなど、そのキャラクターを象徴する要素があるか
・超有名な既存キャラや過去に私が担当したデザインと被っていないか
を確認しながらまとめていきます。
結果的に、大抵2〜3パターンのデザインラフを描いて提出しますが、この時点ではそこまで詳細には作り込まず、クライアント様の希望の方向性を確かめます。
(「これしかない!」と思うデザインが出来た場合は、別パターンを用意しなかったりもします)
【参考例01:すのう・あにぅさんのケース】
<初稿>
設定として「ヒーラーやシスターといったジョブに見えるように」と言うオーダーだったので、「ナース」や「シスター」から着想したデザインを作成。「キャラクターを象徴する要素」として十字マークをあちこちにあしらっています。
【参考例02:神子田ミコトさんのケース】
<初稿>
「エンジニア兼カフェマスター」のオーダーだったので、デジタル感とカフェ店員らしさを意識しながらパターン出し。当初の「キャラクターを象徴する要素」は×マークでした。
5:ディティールを詰める
完成したラフの初稿をクライアント様に送ります。
ちなみにこの時、バストアップと全身の正面絵のみで、こだわりポイントは画像やメールに補足として書き込んでいることが多いです。
候補のうち、イメージに近い方を選んでいただき、それをベースに希望を反映したり細かい部分を加筆修正していきます。
デザインが確定してからも、いくつか色などのパターン出しをすることもあります。
【参考例01:すのう・あにぅさんのケース】
【参考例02:神子田ミコトさんのケース】
早ければ3往復、多い場合で5往復ぐらいでデザインが確定します。
6:三面図の作成
正面の姿が確定すると、次にサイドや背面のデザインも作成します。
Live2Dモデルだとサイドや背面は見えないので、ここは完全に「私におまかせ」状態でのデザインなのですが、正面で見える部分との整合性があり、キャラクターのイメージに合うように意識して作り込むようにしています。
また、Vtuberの方は自己紹介として画像を固定表示される場合も多いので、細部のデザインやカラー、コンセプトなども書いて見栄えと見応えをよくします。
これはファンアートを描いてくださるファンの方へ向けている部分も大きいですね。
【参考例01・02:完成三面図】
これで、キャラクターデザインは完成です!
オーダーメイドのアバターはクライアント様の分身ですので、その人が活動していて楽しいように、気に入ってもらえるようにと願いながら作成しています。
実際に気に入って喜んでいただけると本当に嬉しいです…!
ちなみに、キャラクターデザインの流れの詳細は、pixivのFANBOXでも紹介していますのでよかったら見てね(無料公開です)。
おわりに
デザインが完成したら、Live2Dモデルの制作もご希望の場合は、モデル用イラストの作画に移ります。
私は「モデリングしやすいデザインであるかどうか」は度外視して「クライアント様の理想を叶えられるデザインか」を重視しているので、ここで泣きを見ることもあるのですが…
自分で作画している分、いつでもパーツの加筆修正ができるのは、私の強みだと思っています。
今のところはLive2Dモデル制作と抱き合わせでご発注いただく事がほとんどですが、キャラクターデザインだけも承れますので、ぜひご検討いただけますと幸いです!
お問い合わせはこちらから。
【制作実績】
<キャラクターデザイン&Live2Dモデリング>
・すのう・あにぅさん:@SnowAniu
・姫川結泉さん:@V_yuihime
・神子田ミコトさん:@mikodamikoto
・舞米豊世さん:@vtoyoyo20
・岸咲雨さん:@kishisaki_ame
…他
<キャラクターデザインのみ>
すみれブーケさん(ユニット):@_smile_bouquet
ここまでお読みくださりありがとうございました!
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