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1.5(イッテンゴ)
2021年3月6日 20:32
その隠れ里の岩戸の奥には、鎖に繋れた竜がいる。 僅かの灯りにも真珠色に輝く、神秘的なその鱗。 足元には、白絹の衣を身に着けた病の男が横たわる。 呼吸が細く、忙しない。「逝クカ、ろろすヨ」「短い間しか、務めを為せず… 申し訳ありません、ウル」 延べた男の手に、竜がそっと鼻先を添える。「貴方から見れば、我らの一生など、虫の一時でしょうに… 都度の恵みに… 感謝を」 捧げ持つ美