だしっぱ3
「満を持して」ならいいけど、「満を持し”ちゃった”」場合は困りもんだ。例えば、友達や家族と二人で雑談してる時、発言のタイミングが重なることがある。
「あ、ごめんね」
「あ、いや、先どうぞ」
「いやいいよ、そっちから」
「あ、そう?あの~あれあるじゃん…」
(中略)
「…だったんだよね~。」
「ふ~ん。」
「で?」
「え?」
「いやほら、さっき言おうとしたやつ。」
「ああ…いや、まあ別にいいわ。大したあれじゃないし。」
「あ、そう。」
こっちの意志とは関係なく、満はたまに持しちゃう。そして満が持しちゃった場合、満を持する程でもないものはもはや静かに撤退するしかない。だってそんなつもりじゃなかったんだもん。「はい、ではどうぞ!」なんて整えられた舞台、想定してないもん。
文明の進歩はありがたいけど、あれが苦手だ。自動で開く便座。こっちは確かにうんこしようとやってきたわけだが、向こうから「さあ、どうぞ!」と言わんばかりに開きだされても困る。しかも「うぃ~ん。」ってなんとも言えないゆったりした速度で開くからまた少し余計に満が持する。
”硬い便に悶えた夜がありました、ゆるい便に泣いた朝がありました、しかしそんな日々を乗り越えて、たくましくなった括約筋、母さん、ぼくの肛門はこんなに締まりがよくなりましたよ…それでは歌っていただきましょう、桂一朗さんで『うんこ』…”
…みたいな。いやいや、もう無理だ。そんなご期待にそえるうんこできない。さらに困ったことに、この場合「静かに撤退」ってわけにもいかない。なんたってうんこはもうそこまで来てる。出る気満々だ。だからもうする。満を持して、凡庸な、オーソドックスな、庶民派うんこを。
満は小の時でも持しちゃう。信じられないことに、男性は公衆トイレではみんなで横一列に並んで仲良くおちんちんを出して放尿してる。仕切りなし。で、これが冬場に着込んでる時なんかに、ズボンのファスナー下げておちんちん専用穴からおちんちんを出す作業に妙に手間取ることがある。なかなかおちんちんが登場しない。穴に少し深めに手を入れて「よいしょ」と出す。さてこの場合、自分の横で用を足してる人はどういう心理だろう。
”一体どんな怪物が出てくるというんだ…!?”
我がおちんちんはなんというか、悪い奴ではないが、やっぱこのハードルを越えるポテンシャルは持ち合わせていないと言わざるをえない。すごく良く言えば螺旋力は高い。ラガンは動かせそうだ。これは別に通じなくていい。とにかく満は持しちゃった。そしてうんこと同じく、静かなる撤退、不可。だからもう出す。満を持して、凡庸な、オーソドックスな、庶民派おちんちんを。
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