元気な物体の6月4日
安田記念は負けた。軸は当たってたのに、直前で切った馬が2着に来ちゃって。春のG1は穴で買った馬がいつも5着に来る謎の病に苦しめられてたが、今回はなんかもう普通に外した。地味だ。
この流れで、夜にスーパーにふらっと行くと、全てが「たられば」のフィルターを通して見えてくる。勝ってたらこの刺し盛りで、勝ってたらこのちょっといいウイスキーで、勝ってたらこの妙に高いチーズで、今頃宴だったろうに。でも、野菜売り場で目に飛び込んできたそれは違った。
98円のズッキーニ。なんて立派なんだ。太さも長さも、見事なもんだ。ジェイソン・モモアのおちんちんくらいある。ちなみに見たことはない。なんなら代表作「アクアマン」すら、まだ観てない。それでも、我が脳内には、男根を舵にして縦横無尽に深海を泳ぐモモアの姿が記憶されてる。そのおちんちんくらい立派なズッキーニだった。思わず2本買った。それでも200円だ。
大きいのはいいことだ。おちんちんの話じゃない。物体全般の話として、大きいということは、それだけで割りといいことだ。正確に言えば、大きさにしかない良さというものがある。小さいのが悪いってことじゃなく。道端でお相撲さんを見かけるとラッキーな気がするのも、これが一因だ。
手に持った袋に、モモアのような立派なズッキーニが2本も入ってると思うだけで、少し元気になる。いつでもかかってこい。安田記念に負けたって、こっちにゃズッキーニがあるんだ。ジョン・ウィックなら人の一人も殺せそうなくらいのズッキーニが。まあ、安田記念に勝ってたとしても、同じスーパーに行って、同じズッキーニを見つけて、やっぱり買ってたんだろうけど。じゃあ勝って宴を催した上にズッキーニも手に入れたかったけど。うるせえ、殴るぞ、ズッキーニで。