東京市ケ谷の大妻女子大。
用事があって、通りかかったら「瓶細工 -大妻の至宝-」という大妻女子大学博物館のポスターが目についた。
大妻も博物館を作ったんだなと感心したのと同時に、「瓶細工」という手芸品を初めて知ったので、覗いてきた。
瓶細工。
フラスコ瓶の中にかがり毱や人形、苧環(おだまき、機織りに使う糸巻)などのパーツを入れて、瓶の中で組み立てた手芸品。
大妻の博物館で見た瓶細工は、昭和初期レトロな色、形、デザインで…目黒雅叙園の百段階段風味。
木造校舎だった頃の大妻の学生さん達がセーラ服に三つ編みで先生に習いながらモリモリ瓶細工を作ってたのが昭和のはじめ頃だろうから、まあ、目黒雅叙園と時期が同じくらい。
展示の瓶細工には昭和初期特有の匂いがあった。素材の質感や色、ちょっとしたあしらいの形や作品テーマには時代の流行りがよく出る。
瓶細工を見ながら、昭和黒留袖の絵柄とか、結婚式の水引きとか、引出物のかまぼこの色彩や鶴やらの絵柄を思い出した。
少し調べたら、滋賀の愛荘町長野で伝承された、「びん細工手まり」という手芸があった。
江戸末期が遡れる最古の作品のようで、大正期には瓶の中に刺繍を施した手毬を入れる製法を愛荘町の裁縫教室で教えていたらしい。
編み物、刺繍、千代紙細工のぽっくり作りなどなど、オカンアートの方もざっくりと知ってるつもりでいたけど、生まれてはじめて「瓶細工」を知った。
オカンアートに入れるには、ちょっと超絶技巧がすぎるので気が引ける気もするけど、テイストが昭和初期のオカン。お洒落なおばあちゃまの…。
瓶細工は、ボトルシップで船のプラモの代わりに、瓶の中で糸手毬を作ったり、人形を組み立てる。瓶の中に綺麗な手毬や小さいミニチュアの世界を作れば、ずっと綺麗なままだし持ち運び便利。
正直、ボトルシップは自分で作りたい思った事はなく「要らない…」なんて思う事もあるんだけど、なんでこれ、瓶の中にミニチュア作るか?ヒューマン?と、しばし考えた。
そういえば、瓶の中に詰まっているものって特別感あるかもしれない。首が細く、キュッとした、液体しか出し入れ出来そうにない形状の瓶に船のミニチュアや手毬入ってたら、「オッ!」って思うし。
今まで、瓶の中に入れられて売られたアイテムをchatGPTに聞いてみた。
瓶に入ってると中身の世界が見えるし、特別感とか、少しテンションがあがるかなと、保存や用途目的のほかに、瓶のガラス一枚を隔てた世界に何か特別感があるかも知れない。
いや、ボトルシップも瓶細工も、瓶に魅入られた人が透明な瓶の中の空間を制覇するために、中の空間を埋めるために船とか手毬を作ったんじゃないかなと。
塵や埃を除ける、保存目的なら、水槽を逆さまに被せればいいし。
瓶。
中身が空でも隔離された別の空間がある、魅力か。