周波数のはなし-覚え書き
先日、と言っても七月ごろだけど、父が昔仕事で取り組んだ論文について聞いてみた。
父は無線通信機器の設計をしていたので、どんな論文を書いたのかなと単純な興味だったのだが、「周波数」というものについて、なかなか面白い話を聞いたので覚え書きをまとめておく。
- 父の論文について
EIAJ(日本電子機械工業会、今はJEIDA一般社団法人電子情報技術産業協会)に父の会社が所属していた時に千葉にある他会社のテスト環境を借りて行ったテストの結果を掲載したもの。
- テスト内容
通信機器が電波を発信するときに、その規格の通りに周波数が出ているかのチェック、その上下左右の強さ、ほか、ノイズの発生の有無、ノイズを抑えることなどの、機器の品質基準みたいなものを実機で確認して、学会誌(EIJA)で報告。
EMC(電磁両立性、電子機器間の電磁的な問題に対する整合性を表す技術用語)を保つための検証実験レポート。
- 通信機器の周波数生成について
通信機器は電波を発信するが、その機器の周波数が1000㎑とされていても、そのまま1000㎑の何かが機器の中に仕込まれているのではなく、400㎑と600㎑を混ぜて1000㎑で出力するというような形で周波数を作っている。
機械の中の電気回路では、もっと小さい単位周波数の受発信が行われていて、その機器間の受発信でより大きな周波数を作って発信していくようなイメージ。
- 電波について
電波というのは、サインカーブ(sinecurve)、正弦曲線で、規則のある周期的な波形である。
東京の電気の「電源周波数」は、1秒間に50サイクルの正弦曲線が発生している周波数が50㎐、大阪は1秒間に60サイクルで60㎐という事。
**サインカーブ、正弦曲線
三角関数のsinからきていて、サインの頂点が円形を一周するときの頂点の軌跡をグラフ化したもの。螺旋は横から見るとサインカーブになる。
↓参考 ※電波は進行のみだからsin、右に進む。回転しながら進んでいる軌跡。
[理系話](http://www.cho-ai-hedron.com/tales/001.php)
- 電気製品と周波数
電気製品を使う際には必ず周波数が発生していて、機器の中でも小さいレベルで周波数が出ている。
そこが影響して、1000㎐を発信する機器なのに、ある部分からは倍の2000㎐が出ていたり、という現象がおきることがある。
そのような想定外の周波数が発生するとノイズが発生したり、電子機器間で干渉しあったり、影響が出るので、世界基準で規格化(EMC)されている。
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電気でエネルギーが発生する過程の中の振動がノイズで、電波を発信する機器では、他部品の間のエネルギーが影響しあって、異なる周波数が発生すると理解した。
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- アナログの周波数
電子機器はその基盤の中で周波数を起こして、それを電気で刺激するなどして振動を増幅させて、大きい周波数に変化させていく。
水晶振動子というパーツがある。
水晶を一定の形や厚みにスライスすると振動が起こって、そこに電圧をかけると大きくなっていく。
(結晶内部の元素間が持つ振動を取得して、増幅できるということかなと想像した。)
この水晶振動子の周波数がアナログの周波数。
- デジタルの周波数
デジタルの周波数は0と1
0と1で周波数の波形を作っているから水晶の周波数より荒い。
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ここで、ベジェ曲線とピクセルで描いた曲線を思い出した。関数計算で出されている曲線は拡大しても滑らかだが、ピクセル、つまり、点に対しての0 or 1 、ON/OFFで描かれている曲線は拡大していくと角があるギザギザがみえてくる。
コンピュータにとってのアナログは計算式であって、ドット、モニタの網ではない。人間にとっては水晶とか自然界に存在するものから生じるものがアナログって感じだけど。
とりあえず、曲線、滑らかな有機体的なものを0、1で表現しようとすると、どこかに「欠損」が生じるのではないか。
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0と1で補完できない部分が発生するので、デジタルでつくった周波数をつかっている機器は水晶振動子でできているものよりノイズが生じやすい。
-機器が干渉して出る周波数
TVにラジオでAM放送を流しながら近づけると、ザーっという音が聞こえる。機器が干渉しあって、受信する周波数に影響がでるからである。ある一定の距離を保っていれば、そのように干渉しあわないようにするために通信規格がある。
TVなどの周波数が高いものは遠くまで届く。
電波、電磁は光の部類に分類され、まっすぐ進む。高い建物が入るとそこで消失する。そのため、スカイツリーなどの電波塔、高い建物から電波を送信している。弱い電波は雨や雪などでも消失する。
ノイズの行方が気になる…
興味本位で聞いた父の論文、テストレポートの話だったが、この話を聞いて興味を持ったのはデジタルで作られる「周波数」で、0と1で作る曲線を最拡大した角の部分で何が欠損するんだなというところ。
人の声、身体が感じる音は身体側ではすべて身体がそう受け取る音なんだけど、その波長、音の振動の波形を人の認識で「波」と把握したから、その「波」を銅線で伝えてみたり、擬似的に機械で再現したりで、人の身体を超えた遠距離の「通信」になった。
電話でも、音楽でも、昔のメタル電話線上や、電子機器に「声」を通したところで、消えていく振動はあったかなあ?
話し方や音の感じや話す内容で、田舎のお父さん、お母さん、おばあちゃんの声とか、息子、娘の声だなと、人の身体がその欠損部を補完して知覚していた、とか、そういう感じで、よく聞こえないざらっと消えたものを脳の記憶が補うとか。
人の身体、アナログの知覚で掴み切れない、人の身体に受け取られて知覚されてない、周波数の部分ってあるんだろうか?
受話器をとおした声音がそのまま進む、昔の電話のメタル回線では、その声の正弦曲線の伝送損失部分は金属に吸収されるのか?
どこかに霧散するか、土に返るというか、もし、溜まるってことがあったとしたら、心霊現象にでもなるだろうか。どこかでボソボソ話をする木立みたいなお化け話の正体はなんかの音声とか。
さらに、アナログからデジタルに変換されて作られた声の正弦曲線は、アナログに存在するけど拾えてない何かがあるって事で。
通信規格の上に便宜上0、1で人の声などを再現しているんだろうけど、0と1で正弦曲線をつくるために不要なものとして削られた周波数の行方がすごく気になった。
アナログの周波数を入力装置の機械は受け取っているが、デジタル化してメモリに渡される間で切り落とされた小さい周波数が、ある種の塊となって、その機器やシステムを通して意図しない発信をする、という「バグ」もどこかに存在するかもしれない。
パソコンは関数のベジェ曲線だとどこまで拡大してもキザキザが出てこないから、音も関数計算で再現できるようになると、処理が楽になるんだろうか。
切り捨てられた部分の雑味がなくなると、生き物っぽさは消えるのか。
いや、デジタルの世界は人の身体が知覚できる範囲のものに整えられてるんだけど、整えてもらわないと、周波数発生しちゃって干渉しちゃう機械自体が生き物っぽくもあるか。