終焉の刻! 逢魔時王必殺撃!
お久しぶりです。今回は、趣味の話しかしません。そう、特撮です。
逢魔時王必殺撃
『おうまじおうひっさつげき』と読みます。2018年から2019年にかけて放映された仮面ライダージオウの主人公、常盤ソウゴが最終回で一度だけ変身する、仮面ライダーオーマジオウの必殺技です。
私はこの最終回を、日曜日の朝に一度、再放送でもう一度見ました。
そして、その威力とかっこよさに痺れました。
エフェクトは、まあ、キックの片仮名文字が敵をいっぱい取り囲んで、跳び蹴りが決まった瞬間爆発するという、オーソドックスなライダーキックなんですがね。
発動のときの力強い漢字の呼びかけに痺れるという話です。
全てを失ったソウゴの魂を震わせるような叫びから、ベルトのスイッチ。
どすの効いたナレーション、『終焉の時!』『逢魔時王必殺撃!』
『キック』の文字に包囲され、やぶれかぶれに反撃しようとするアナザーディケイドめがけてオーマジオウは跳躍。繰り出す蹴り!
これしかない、という演出でした。実はリアルタイム放送時、私はあまりジオウというライダーに興味がなく、この最終回を始めてみたときも、それまでの筋がほとんど分からない状態だったのです。だからソウゴがなぜこれほど怒っているかすらも、理解してない状態だったのです。
なのに、このキックの演出には震えました。後々、再放送でジオウの物語を見て行って、さらに心を動かされました。
どれほどの戦いだったか?
ジオウがテレビシリーズで最後に戦う敵は、アナザーディケイドという奴なのですが。めちゃくちゃなことに、今まで放送されたすべての平成ライダーの世界から、あらゆる怪人を呼び出すことができるのです。
アナザーディケイドはその力で主人公たちの世界におびただしい数の怪人を呼び寄せ、世界を滅ぼそうとしました。それを止めるべく、主人公のソウゴや仲間のゲイツ、ヒロインのツクヨミや仮面ライダーディケイドこと門矢士たちは必死に戦うのですが、余りの力に敗北してしまいます。ソウゴもまた、グランドジオウという、今までのライダーを呼び出すことのできる強力な姿となって戦ったのですが、力が及びませんでした。
アナザーディケイドが呼び出した怪人が強すぎたのです。
一例を挙げるだけでも、『クウガ』が戦った、ン・ダグバ・ゼバ(原子分子を操り、相手をプラズマ化して焼失させることができます。あくまでクウガ本編の設定上ですが、この能力で三万以上の人を殺しています)、『ビルド』が対峙した地球外生命体エボルト(いくつもの星を食らい滅ぼした、意味が分からないほど強い存在、最終形態はブラックホールさえ操り、作中では関係ない星一個を破壊して見せた)、『エグゼイド』を苦しめたゲムデウス(強力なうえに、仮面ライダークロニクルのゲーム上のボスキャラなので、本来ゲーム的な手段でないと倒せない。おまけに、人人感染を起こすゲーム病のウイルスをまき散らす)などなど。こんな奴らを一体ずつでなく、何体も同時に呼び出して攻撃してくるのです。
強力な攻撃で変身が解除されてしまったソウゴは、さらに追撃され命を奪われそうになります。
そこに、仲間のゲイツが、高速移動できる『ゲイツリバイブ疾風』で割込み、代わりに攻撃を受けてしまいます。仮面は割れ、変身が解除され、重傷を負ったゲイツはソウゴの腕の中で、オーマジオウになるよう言い残して息を引き取ってしまいます。
オーマジオウとは
オーマジオウ。それは、仮面ライダージオウの最強の形態ですが、最低最悪の魔王と呼ばれています。実は、ジオウの世界では五十年後の未来、人間たちは五十年後のソウゴが変身したオーマジオウによって弾圧されているのです。ゲイツと、ツクヨミは、未来人であり、オーマジオウにレジスタンスの仲間を殺されていました。二人が現代にやって来てソウゴと出会ったのは、未来のオーマジオウを消し去るため命を狙いにきたのです。
ちなみに未来が荒涼としたものであることは、作中でソウゴ自身も未来の自分に会い、荒廃した風景とあまりにも強い自分自身と戦って打ちのめされ、見せつけられています。
ですが、タイムジャッカーとの戦いを共にするうちに、現代のソウゴとゲイツ達は絆を深めていきました。だから最後に、ソウゴをかばって、ゲイツは死んでしまうのです。殺しに来たはずの相手を守って。
ソウゴはゲイツ達の言う未来を信じ、自分がオーマジオウになることを拒んでいました。あまりにも強いアナザーディケイドを相手にしても、殺されそうになっても拒んでいました。未来を破壊しないためです。最低最悪の魔王には絶対ならない。最善最高の王様になる。それが夢だからです。
そのソウゴに、ゲイツは言い残します。オーマジオウになれ。お前なら、最低最悪の魔王にはならない、と。
その強さ
感情を爆発させ、叫び声を上げると、ソウゴはもう一度ベルトを起動。凄まじい力に呼応するように大地が裂けて溶岩が流れ込み、巨大な時計版を形成。溶岩の針の上で、ソウゴはとうとう、オーマジオウに変身しました。
しかし敵は今までの平成ライダーを苦しめた最強の怪人たちです。いくらオーマジオウでも果たして――。
そう思った瞬間、懸念は吹き飛びました。
ン・ダグバ・ゼバは、立ったままの蹴り一発で吹き飛び、巨大なクウガの紋章と共に消滅。
強大な力を持つミラーワールドのモンスター、ドラグブラッカーは、パンチ一発で頭部から胴体に駆けて連続して爆発。まるで、ガンダムアレックスが戦った、ケンプファーのチェーンマインみたいです。
先述のエボルト、ゲムデウスも話になりません。宇宙を歪める力も、ゲームデータ上の存在でも、オーマジオウはたった一撃で破壊し尽くしてしまいました。
直接戦っていた怪人だけではありません。上空を舞う無数の怪物たちをも、オーマジオウは一瞬にして全て倒してしまったのです。
旗色が悪いと見たアナザーディケイドは、オーマジオウの力を吸収して違う時空へと逃げようとしますが、そこにツクヨミが変身した仮面ライダーツクヨミが不意打ちを掛けます。腹を貫かれたアナザーディケイドですが、倒されることはなく、実の妹であるツクヨミをも手にかけてしまいました。
目の前でツクヨミをも失ったソウゴは、逃走に失敗したアナザーディケイドめがけて、最後の技を発動します。
そして、冒頭の、『終焉の時!』 『逢魔時王必殺撃!』 へとつながるのです――。
テレビ版49話の全て、その果てをしめくくる、最後の一撃。たった一回の必殺技。それが、逢魔時王必殺撃なのです。
その威力は余りにもすさまじく、アナザーディケイドを消滅させ、世界中に広がったおびただしい数の怪人も余波で全て吹き飛ばしました。
世界は救ったのですが、ソウゴは全てをやり直すことを選びます。この世界線では死んでしまったゲイツやツクヨミが、同じ高校に通う生徒として生きている世界へと、オーマジオウの力で書き換えたのです。次の未来こそ、最高最善の王様になることを目指すのです。未来は分からない。
メタ的なことを言うと、これは、令和ライダーの新しい始まりということでもあるのでしょう。そして、令和第一号は、終盤まさかの展開を見せる仮面ライダー01、さらに小説家ライダーのセイバーへと続いていくのです。
終わりと、始まり。
やっぱり、漢字で、びしっと言ってほしい気がします。
フィニッシュタイム! とか、オーマジオウストライク! よりも、
『終焉の時!』、『逢魔時王必殺撃!』だと思ったんですよね。
漢字の必殺技のかっこよさ、というより、仮面ライダージオウ最終回レビューみたいになってしまいましたかね。
でも強烈な印象でした。あるいは、小さいころに再放送で見た、新一号ライダーのライダーキックを書き換えるほどだったかもしれません。
思えば日本という国自体、明治維新から先、外来の言葉を翻訳したり和製英語にしたりしながら発展してきました。ライダー、だって、元はバイクに乗る人という意味の英語です。『仮面』がついてヒーローになりました
こう書くと、和製英語、英語、日本語がまじりあってこその日本文化、みたいな気もするのですが。
いやいや、やっぱり逢魔時王必殺撃です。漢字のかっこよさを久しぶりに実感しましたね。
漢字の必殺技か。皆さんは、何か印象に残っているものがあるでしょうか?
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