『食べる人の献立学』③
4.よりよく生きるための食は「選食」なり
またまた“初めてお聞きになるのでは?”という言葉の登場です。
「選食」は学生時代にフードジャーナリストの砂田登志子さんの特別講義を聴く機会があって知ったことばです。講義はこれから栄養士として、単に食事を通した栄養の提供だけでなく「よりよく健康的に生きるための知識という技術の普及も担うべき」といったメッセージだったと記憶しています。
選食は文字どおり“選んで食す”ことを意味しています。「人生は選択の連続」と申しますが、食も然り。特に選食ということばは主に「料理」を指していて、それを選んで組み合わせることが食事を進めていく上での「選食力」ということになり、それはまさに「献立」ということになります。
「選食力」と「献立」が、栄養士になってずいぶん時間を経て繋がりました。もしかすると私自身が、栄養のバランスがとれた食事の提供に日々追われていて、選食という言葉が心に残りつつも「よく考えて理解して、栄養士として指導に活かす」まで到達出来ていなかっただけかもしれませんが…。
献立を「学問」としてお伝え出来るかも…?そう思い立ったのは、選食力という考え方を今ならお伝え出来るかも…と思えたからでもあります。
5.日々の食事を支える「選食力」
『食べる人の献立学』でなら、選食力という情報をお伝えしやすいのでは…ひらめきを早くカタチにしないと忘れてしまうかもと思ったのですが、選食力という言葉をご紹介するためには、その前にお伝えしたほうがいいかもと思うこともあり、自分としては“遠回りしたなぁ…”とも思います。
日々の食事で多くの方にとって、いろいろな理由や状況を考慮して最終的に「今食べるもの」は決まると思います。給食のように“それを食べるしかない状況”の食事は、大人の食事の場合は少数派だと思います。最近、雇用する側の「働く人を大切にするスタンス」をアピールする例として、社食に特色を持たせるケースも復活しているようです。(私が学生の頃は、潤っている状況の還元でしかない社食もあった記憶があります)
最近の社食の多くは、複数のメニューから選べる「カフェテリア方式」が中心のようです。メニュー例のまま選択する場合の栄養価は計算されているのはもとより、食べたい料理を選んでトレイごと軽量機に乗せると、価格だけでなく栄養価まで計算してくれるシステムを導入している“超ハイテク社食”もあるようです。
いずれにしても、料理の特長を把握して栄養についてある程度の知識があれば、収めたいカロリーや意識して摂取したい栄養素の取れる食事をすることが可能です。これが「選食力」です。
もう少し書き進めたら、具体的な「料理の組み合わせかたのポイント」などはご紹介しますが、次回も“食べる人と選食力の関係について”お伝えさせていただけたらと思います。
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