『食べる人の献立学』④
5.“作って食べる”じゃなくても献立を基本に
健康的に過ごすために、いろいろな栄養素が必要なことは多くの人が理解していると思います。日本人の食生活は「一汁一菜」を基本としてきたので、伝統的に献立という“料理を組み合わせて食べる”というスタイルも知られていたと思います。『作る人の献立学』で献立が栄養的にも食品的にも、偏りをおこしにくい食事作りに役立つ考えであることをご紹介しました。
献立という考え方は作る人にとっての知識としてだけでなく、普段「料理をしない・自分は食べる専門」という方にも大いに関係のあるものであると思います。健康的な食生活を送るために、作るという過程をしない方にも“食べることはみんな同じ”という基本的な姿をふまえて『作る人の献立学』がちょっとしたヒントになれば幸いです。
6.外食だって中食だって“食材に注目”してみる
私は外食も中食も「上手に取り入れればいい」と思っています。そもそも栄養指導などで外食や中食の多すぎる場合に指導が入るのは「食材や調味料の量や内容が把握しにくいから」ということが挙げられます。自分で食材を揃えて、調味をすれば“栄養的にも把握がしやすいから”という理由が大きいのです。外食や中食の材料や調味料がある程度追跡出来れば、不足する栄養やメニューの弱点をカバーする食事作りは可能です。実際の栄養指導の現場でも、単品メニューへの補足をアドバイスすることは多いです。働いてる方のランチはうどんやラーメン、パスタなどの麺料理が多いです。いくつもお皿があるような定食をゆっくり食べられる日ばかりではないかもしれないと思えば、ランチに単品メニューは便利なパターンといえます。栄養指導の際に食事療法が必要な「緊急を要する場合」でなければ、現状の修正よりも補整を私は意識します。無理な修正はクライアントさんの「実践」に結びつかないことが多いと考えるからです。
単品メニューの補整…例えばうどんやラーメンのような「汁も味わうもの」ならサラダやお浸しのような野菜をプラスしたり、ヨーグルトやチーズなどの乳製品を添えるとタンパク質やカルシウムも補うことが出来ます。パスタなら野菜スープや野菜ジュース(野菜果汁100%のもの)で野菜不足を補ったり、ハムやタマゴ、魚介類や海藻類を食べられるサラダをプラスすると栄養バランスがさらに整います。“単品メニューこそ献立学をプラス”してみることをおすすめします。
また、単品メニューなら「ひとつのお皿で多くの食品が使われている料理」を選ぶこともポイントです。私も外食する場合は“自分の献立ではこんなに野菜を使わない”とか、魚料理を選ぶことが多いです。自分の作る食事に足らないものがとれる献立を「外食だからこそ」選んでいるくらいです。
『食べる人の献立学』次回はさらに具体的なアイディアをご紹介してみようと思います。