氷河期を生き延びた小型哺乳類のように
ツエーゲン金沢を語る時に、よく話題に上がるのが“事業規模(売上)”ですね
皆さんご存知のようにツエーゲン金沢の売上は、J2の中でも下から数えて何番目かぐらいです
ですがね
その内訳を見てみると
これもご存知の方が多いと思いますが、収入の大半をパートナー契約で賄っています
ツエーゲンの平均入場者数が、昨年の実績でJ2では下から5番目なので、入場料収入の占める割合は自然と小さくなります
そこなんですよね
コロナ禍でどのクラブも入場者数が激減している訳ですから、それに応じて入場料収入も大幅に減少しています
それが売上の中に占める割合が大きければ大きいほど、減収のダメージも大きくなります
ツエーゲンは、2019シーズンの平均入場者数が5209人だったのに対して、2020シーズンは1866人
率にして約64%減でした
酷いもんだな…と思うでしょ?
ですがね
考えてみてください
入場料収入って、割合じゃなくて実数で計算されるものですよね
そう考えれば、ツエーゲンは前年から3343人の入場者数減
愛媛や東京Vや栃木など、減少を2000人台に抑えたクラブもありますが、大体どこのクラブも4000人〜6000人減らしています
新潟に至っては9000人以上も減ってるんです
皮肉な事に、今まで「良し」とされてきた、観客数の多さが、コロナ禍では仇になってしまいました
ここ最近のツエーゲンの経営方針
入場者数を増やす事から、有料コンテンツの立ち上げやグッズ販売などのスタジアム外での収入を増やす事にシフトしてますね
観客動員が見込めなくなった今の時代にそうする事は、リスクマネジメントの上で非常に重要なんです
そしてスタジアム外収入はチケット売上と違って、1年を通してオフシーズンでも得られる事も強みです
もちろんお客さんが増える事はツエーゲンの魅力を肌で感じてもらう事ができますから、非常に喜ばしい事です
素直に増えて欲しいし、何とか増やしたいと思っています
ですがね
ウチは観客動員が少ないから
という事が、J1昇格を目指すには時期尚早と決めつける理由にはならない時代なのかも知れませんよ
2020年のJ1の平均入場者数は、5796人だったんですから
リーグ中断前の開幕戦に、3万人以上も動員した試合があったにも関わらず
そんなん去年だけの話やろ
去年は特殊なシーズンやってんから
ホントにそうでしょうか?
私ももちろん、以前のような活気のあるスタジアムが戻ってくる事を望んています
ですが残念ながら、客観的に見て、去年のような状況はまだしばらく続くと思います
そうなった時に、クラブの財政を支える根本は何か?
と考えると、パートナー契約による収入と、有料コンテンツやグッズ売上といったスタジアム外での収入が柱になります
そこが強いクラブが生き残ります
そして幸か不幸か、ツエーゲン金沢は元々そういうクラブです
プロサッカーはスポーツエンターテイメントである以上、観客動員を伸ばす事は必要ですが、昨シーズンのような不測の事態…観客を入れられなくなるような事態が起こった時に「チケット収入ありき」の経営は脆い物です
では、スタジアム外収入を増やすためにサポーターにできる事は何なのか
有料コンテンツへの課金やグッズの大量購入は、サポーター側の懐具合に関わる事ですから、みんながみんなできる事ではありません
しばしば「お布施」という言葉も使われますが、そもそもの大原則は、クラブ側が魅力的なコンテンツを創る事や、購買意欲をそそるグッズを充実させる事ですよね
そういう事を抜きにして、誰にでも比較的簡単にできる事は?
現状思いつく事は、これは以前から言われている事ですが、SNSを利用したパートナー企業のポジティブな情報の拡散でしょう
飲食店や小売店なら
お店を利用したよ
美味しかったよ
楽しかったよ
こんな魅力的な商品を見つけたよ
良いサービスを受けれたよ
そういう情報を積極的に拡散して、ツエーゲン(のサポーター)は、お店の好感度を上げてくれるって思ってもらう事
地味な事ですが、大事な事ですよね
お互い苦しいけど、一緒に難局を乗り切ろう
って意識は、クラブの営業担当者の努力だけでなく、サポーターの地道な取り組みによっても芽生えるものだと思います
他に「こんな方法もあるよ」って方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください
それってスゴく大事な事なんですから
私はコロナ禍によって、クラブ経営の価値観が変わっていく気配を感じます
毎試合1万2万の客を入れて、数千万の売上を上げる
主にそこで得た収入で、クラブを運営する
そういう今までの常識から脱却しなければならない時代が、訪れようとしているとしたら?
二流は状況に左右されて
一流は状況に左右されない
超一流は状況を利用する
by ROLAND