待遇を上げて採ったその人は、本当に欲しかった人材ですか?
今日はあるNewspickの記事をみて感じた、感想文的な内容になりますが、是非人材不足に悩む経営者や人事担当に方に考えて貰いたいことをお伝えします。
広がる好待遇化
2023/8月時点で、日本学生支援機構「JASSO」の奨学基金返還支援制度、つまり、社員が借りている奨学金を企業が一部返還する制度を利用する企業が、1000社を超える見込みという調査結果が出ました。
この流れは民間企業だけでなく、人手不足と言われている教員採用にも広がっているそうです。
競争の中で、サービスや価格が見直されることは、市場原理としてごく普通のことで、コレそのものを否定するつもりはありませんし、企業運営に人材の“頭数”が必要なことは重々理解しています。
それでも、人材不足に悩む中小企業の経営者に問いたいのは、待遇面に釣られてくる人材は「皆さんが採りたかった人材ですか?」
中小企業求人の好待遇化は“焼け石に水”
1人の採用コストに1000万以上使う、いわゆる「ハイキャリア」の採用事情だとまた変わってきますが、
私自身ベンチャー企業・上場企業両方の人事をしてきた経験上、中小企業が行う、ベースアップや、奨学金の一部肩代りといった待遇面の向上は、
“負担に対する、採用への影響が小さい”というのが結論です。
(うろ覚えなので、データの出所が間違っているかもしれませんが)確か、物語コーポレーションが過去に独自に行った「ベースアップと従業員満足度」の調査では、ベースアップによる満足度への影響は1年ほどしか維持されないという結果があるほど。
以前の「採用をマーケティングで考える」記事でお伝えした内容のおさらいになりますが、企業が求職者に提供できる価値は2種、
プロダクト価値(待遇、業績、将来性などの誰にとっても同じようにある価値)
コミュニケーション価値(文化、裁量権の範囲、取得できるスキル・経験などの、享受する人によって変わる価値)
その内、プロダクト価値を高めることに終始してしまうと、大手求人に埋もれてしまう上、求めている人材とはズレた人材を採用し兼ねないのです。
社員全員で採用活動できる会社になれるか?
キャリアコンサルタントとして、大学でお話させて頂くこともありますが、新卒だろうが、転職組だろうが、必ず待遇以外に“自分なりの軸”を持ったやる気の溢れる人材はいます。
ただ、皆さんの会社の魅力が彼らの元に届くには、根気強く情報発信&コミュニケーションを取っていくしかありませんが、残念なことに、それはもう人事担当独りで行うのには無理があります。
これまで中小でありながら、優秀な人材をコンスタントに採り続けているモデルケースはすべからく、社員全員が情報発信に協力し、自分達で仲間を採用する意識を持っています。
皆さんの会社の社員は、一緒に採用活動に取り組んでくれるでしょうか?自分の仕事ではないと断られないでしょうか?もう頭数を揃えて、業務をやらせていれば会社が回る時代では無くなっているのです。
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