間違い学 「ゼロリスク」と「レジリエンス」
◯ヒューマンエラーの定義
・人が期待された範囲の判断や行為を逸脱し、その結果も期待された範囲を逸脱した場合
=自分では正しいと思っておこなったことが、期待からずれていた。そして、期待した結果をもたらさなかった。
◯注意すれば改善される?
・注意することは無駄でないと思っている。注意をするとしばらく効果があるが、時間が立つと気が緩む。だから注意し続けることが大事。
=これが誤解。ヒューマンエラーは始終生じておらず、ある期間をおいてランダムに発生している。注意をしたからエラーを防げたのではなく、「もともと」起こらなかっただけ。平均的にエラーは起こる。
・何をどう気をつけるのか?具体的な行動指示が必要。またどのようなヒヤリハットや事故が生じているのかを認識させ、リスクが身近にあることを理解してもらう。
・こうすればエラーが起こらなかったのに(後知恵バイアス)。
結果がわかっていない段階ではどの行為や判断が正しいのかはわからないことのほうが多い。それを結果が出てしまってから責めるのではなんの解決にもならず、エラー防止には役に立たない。
◯外的手がかりでヒューマンエラーに気づかせる
・対象:仕組み(実現可能性が低い)
・表示 ・文書 ・電子アシスタント(QRコードなど)
・人(人の目で確認)
※最も重要なことは外的手がかりを現場で考えること
①行為をする前に気付けないか(制止)
②行為をしようとしたときに防護できないか(防護)
③やってしまったあとに対処できないか(修正)
・業務体制はどうか(人手不足、属人化、業務過多など)
・単純作業はなるべく人間に行動させない
・複数人の作業におけるコミュニケーションミスはあるか
・リスクを知り、事例を教訓として組織的に取り組む
◯ゼロリスクは無理
・エラーを完全になくすことを目指すのか、エラーが少ないことを安全だと捉えるのか。
⇒行いたい仕事や作業が満足行くレベルに達することを目指せば良い。すべてのルールを明示すること、それを理解すること・させることは難しい。エラーは起こるという前提で、どの段階でそれを防いだり対応するのか。
●気づき・まとめ
・現在、エラーが起こった際はなぜ起こったか、次はどう防ぐか(表示ややり方の変更など)を考え、さらに社内で共有することで他の人が同じエラーを起こす可能性を下げるようにしている。
・ただマニュアルを作ってもエラーを防ぎきれるものではなく、読まれる可能性も低いうえに完全に理解されることもないだろう(かと言ってマニュアルが無いことも今後の会社運営にとって良くないと思うが)。
・ミスをした人を必要以上に責めない。事故報告は本人になぜそうなったのかを気づかせるきっかけの一つであり、同時に同じような例を社内で防ぐ方法を我々が考えるためのものとしたい。
・エラーは起こり得る。起きたときの対処、また被害の最小化のための仕組みを考え、そして次に人が会社がそれを起こさないためにどうするかという意識でいよう。
・あとは総務で全て対応するのではなく、その部署で考えた対応策・改善策をしっかり取り入れたほうが良い。現場を知ってるのは現場であるし、自分たちが決めたルールは守られる(たぶん)。
間違い学 「ゼロリスク」と「レジリエンス」
松尾太加志/新潮新書/20240620/20240822読了