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令和6年-労災法・問7-エ「受給権の保護」

今回は、令和6年-労災法・問7-エ「受給権の保護」です。

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労働者が退職したときは、保険給付を受ける権利は消滅する。

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「受給権の保護」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H29-7-D 】
保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。

【 H27-6-イ 】
労災保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。

【 H16-3-B[改題]】
休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付は、業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による傷病の療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に支給されるものであるから、労働契約の期間満了等により労働関係が消滅した後においても、当該傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない状態にある限り、支給される。

【 H8-2-D 】
休業補償給付を受ける労働者について、当該労働者が従事する事業の廃止に伴い労働関係が終了した場合又は本人の自己都合で会社を退職した場合でも、当該休業補償給付は引き続き支給される。

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「受給権の保護」に関する問題です。

保険給付を受ける権利は、労働者という身分があることを前提として生じますが、いったん発生した保険給付を受ける権利は、その身分を失ったとしても、変更されません。
つまり、労働者の退職によって変更されることはありません。
これは、労働者が業務上の事由により負傷又は疾病を被った場合に、保険給付が雇用関係の存在している期間中についてのみ補償され、退職等の理由により雇用関係がなくなった場合は補償されないということになると被災労働者の被った損害の一部しかてん補されないことになるため、退職を理由により使用者との間に雇用関係がなくなったとしても、支給事由が存在する限り保険給付を受けることができるようにしたものです。

【 H16-3-B[改題]】【 H8-2-D 】に関しては具体的な出題で、退職の事由が挙げられていますが、退職の事由を問わず、保険給付を受ける権利は変更されません。
ですので、いずれの場合も、支給要件を満たしているのであれば、休業補償給付は引き続き支給されます。

ということで、【 R6-7-エ 】は誤りですが、その他の問題は正しいです。

このような規定は、具体的な内容で出題してくることがあり、もっともらしい言い訳を問題文に組み込んで誤っている内容を正しく見せようという文章として出題されることがあるので、そのような出題があった場合、惑わされないようにしましょう。


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