令和4年-厚年法・問3-A「被保険者期間の算定」
厚生年金保険法
被保険者期間の算定
今回は、令和4年-厚年法・問3-A「被保険者期間の算定」です。
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甲は、昭和62年5月1日に第3種被保険者の資格を取得し、平成元年11月30日に当該被保険者資格を喪失した。甲についての、この期間の厚生年金保険の被保険者期間は、36月である。
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「被保険者期間の算定」に関する問題です。
次の問題をみてください。
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【 H9-5-B 】
旧法の厚生年金保険法に規定する第三種被保険者であった期間の被保険者期間の計算は、昭和61年4月1日前の加入期間を5分の6倍して行う。
【 H12-5-D 】
昭和61年4月1日前の旧船員保険法による船員保険の被保険者であった期間は、実際の被保険者期間に3分の4を乗じた期間をもって厚生年金保険の被保険者期間とする。
【 H12-5-C 】
昭和61年4月1日から平成3年3月31日まで第三種被保険者であった期間は、実際の期間に5分の6を乗じた期間をもって厚生年金保険の被保険者期間とする。
【 H15-1-A 】
昭和61年4月1日から平成3年3月31日まで第三種被保険者であった者の被保険者期間は、実期間を5分の6倍して計算される。
【 H25-選択 】
厚生年金保険法に規定する第3種被保険者の被保険者期間については、昭和61年4月1日から( A )4月1日前までの被保険者期間について、当該第3種被保険者であった期間に( B )を乗じて得た期間をもって厚生年金保険の被保険者期間とする。
【 H20-5-D 】
昭和61年4月1日に第3種被保険者の資格を取得し、平成2年11月30日に当該資格を喪失した者については、66月をもって、この期間の厚生年金保険の被保険者期間とされる。
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「被保険者期間の算定の特例」に関する問題です。
現実の期間をそのまま被保険者期間とするのではなく、プラスアルファした期間にしましょうという規定ですが、規定そのものは、難しくはないですよね。
そこで、
【 H9-5-B 】:誤り。
「5分の6倍」ではなく、「3分の4倍」です。
【 H12-5-D 】:正しい。
旧船員保険法による船員保険の被保険者であった期間は、旧厚生年金保険法の第3種被保険者であった期間と同様の取扱いをします。
【 H12-5-C 】:正しい。
【 H15-1-A 】:正しい。
この間が「5分の6倍」です。「3分の4倍」は廃止することにしたけど、5年間は経過的に「5分の6倍」にしたというものです。
ですので、【 H25-選択 】の答えは、
A:平成3年
B:5分の6
です。
【 H20-5-D 】と【 R4-3-A 】は、応用問題で、具体的な期間を計算する必要があります。
【 H20-5-D 】の場合、昭和61年4月から平成2年10月までの期間は4年7か月(55月)です(11月は被保険者期間には入りませんからね)。で、この期間、第3種被保険者期間ですので、5分の6倍することになり、55月×5分の6=66月となります。正しいです。【 R4-3-A 】の場合、昭和62年5月から平成元年(昭和64年相当)10月までの30か月で、これを5分の6倍した36か月が被保険者期間はとなります。正しいです。
単純に、「3分の4倍」なのか、「5分の6倍」なのかと問われるのであれば、簡単ですが、いざ計算をしろということになると、ちょっと焦ってしまうかもしれません。でも、難しい計算ではありませんから、落ち着いて、正確に計算しましょう。
ちなみに、この特例は、坑内員と船員は、労働が過酷かつ危険であり、引退年齢(長期間の就業が困難なので)も早く、また、保険料率が一般の労働者よりも高く設定されていたことなどから設けられたものですが、船上や炭鉱内の労働もその後機械化が進み、さほど大変でもなくなったため、新法になった際に廃止することとしました。しかし、突然廃止するのは激変ですから、改正時の参議院修正において、経過措置を設けました。この経過措置が、5年間に限定し、その間は「5分の6倍する」というものです。