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令和5年-厚年法・問10-ア「障害厚生年金の最低保障額」

今回は、令和5年-厚年法・問10-ア「障害厚生年金の最低保障額」です。

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障害厚生年金の給付事由となった障害について、国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が障害等級2級の障害基礎年金の額に2分の1を乗じて端数処理をして得た額に満たないときは、当該額が最低保障額として保障される。なお、配偶者についての加給年金額は加算されない。

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「障害厚生年金の最低保障額」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 R2-4-D 】
 障害等級3級の障害厚生年金には、配偶者についての加給年金額は加算されないが、最低保障額として障害等級2級の障害基礎年金の年金額の3分の2に相当する額が保障されている。

【 H29-2-E 】
障害の程度が障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額は、障害等級2級に該当する者に支給される障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切上げるものとする。)に満たないときは、当該額とされる。

【 H25-10-C 】
障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額が、障害等級2級の障害基礎年金の額に3分の2を乗じて得た額に端数処理をして得た額に満たないときは、障害等級2級の障害基礎年金の額に3分の2を乗じて得た額に端数処理をして得た額を支給する。

【 H18-9-C 】
障害等級3級の障害厚生年金の年金額には、配偶者についての加給年金額は加算されないが、障害基礎年金の年金額の3分の2に相当する最低保障額がある。
 
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障害給付に係る障害等級は、国民年金では1級及び2級、厚生年金保険では1級、2級及び3級となっており、障害等級3級は、厚生年金保険の独自給付になります。
そのため、障害厚生年金の受給権者のうち障害等級3級に該当するものは、障害基礎年金が支給されません。

そこで、厚生年金保険において最低保障を設けています(1級及び2級〔2階建ての場合〕には最低保障がないので、厚生年金保険だけで考えると、障害の程度が重いのにもかかわらず、その額が3級より低くなる場合が生じ得るため、障害基礎年金が支給されない場合に限り、最低保障を設けています)。

ここに掲載した問題は、それを論点にした問題です。

【 R5-10-ア 】では、最低保障の額を「障害基礎年金の額の2分の1」としています。
【 R2-4-D 】【 H25-10-C 】【 H18-9-C 】では、最低保障の額を「障害基礎年金の額の3分の2」としています。
この「2分の1」と「3分の2」は「4分の3」なので、いずれも誤りです。
ありがちな誤りの作り方です。
【 H29-2-E 】は、正しいです。

前述したとおり、障害等級3級は、厚生年金保険の独自給付なので、1級や2級の場合と異なる点がいろいろとあります。
例えば、配偶者加給年金額が加算されないという点があります。
逆に、1級や2級の場合と同じ扱いをする点もあります。
被保険者期間については最低300月を保障する点です。
試験では、違いを論点にすることがありますが、共通のものを違っているようにして誤りの出題をすることもあります。
ということで、1級・2級と3級との違い、ここはちゃんと整理しておきましょう。


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