山端宏実、他『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史』 考察
みずほ銀行
1923年5月7日設立。みずほ銀行が使用していた勘定系システムは使用開始から約20年目にしてシステムエラーを起こした。そのため新たなシステム確立のために動き出す。その約10年後には東日本大震災の義援金大量振り込みによるシステムダウンがあった。後に、義援金受付に対する準備や対応不足を含む30の不手際が明かになった。2019年、復旧開始20年目にしてようやく新システムの導入が完了。それによりみずほ銀行ユーザーの週末の銀行利用が再び可能となった。
2025年の壁
上記でも示した通りみずほの勘定系システムは使用から20年目にしてシステム障害を起こした。一般的なシステムの寿命の平均値と言ってもいいだろう。みずほ銀行のように20年以上も同じシステムを使い続けている企業は2018年時点で日本国内に22.3%存在しているという。さらに2025年にはこの割合が60%を上回るという統計も出ている。
みずほ銀行は人件費をシステム復旧に対し、35万人月(1人が一か月間働いた場合、1人月)費やしている。その費用は4500億円にも上る。みずほ銀行の例を鑑みるとこのままでは日本のほとんどの企業が多大な金額をかけながら従来の事業を推進していくという厳しい状態になる。
19年かかった原因
原因は上記で紹介した30の不手際で明らかになっているが、特に気になったものが4点あった。
一部のデータを紙媒体のみで保存
システム利用開始当初の担当資料の不足
社内情報共有の不徹底
連携不足
私がこの4点を挙げた理由は実際に私自身がこれらで痛い目を見ているからである。大学生の時わたしは学園祭の実行委員会に所属していた。二年の後半から私は5つある部署のひとつのリーダーを務めることとなった。先代からの引継ぎにあたり過去の資料に対する杜撰さが明かとなり大変苦労した。またある程度の立場に就いたことでこれまでの会議の資料や計画書を閲覧する機会が増えた。しかしそれらを探すのにも一苦労という状態であった。これではスムーズな作業はかなわず、情報共有もままならなかったのも納得できた。
抱えている問題の質や量に関係なく、問題と認識した時点で改善策を検討しはじめなければやがてそのしこりは肥大化し、全体にまで悪影響を及ぼす。特に今回の新型感染への対応を鑑みてもらいたい。