黒と金と時々茶色
「髪を染めたい」そう思うのは大抵夜中だ。
思い立ったら即行動派のわたしはすぐに
行きつけの美容院に予約を入れる。
そして、大抵そう思うときは、黒髪を金髪にするか、
金髪を黒髪にするかのどちらかだ。
美容師さんに無理を言って黒い髪を金髪にするのに
それに飽きたら、せっかく綺麗に染めた金髪も
一瞬で黒髪にしてしまう。
申し訳ないことをしているなと思いながらも、
髪の色を変えたい衝動には勝てない。
だって、金髪は自分が強く明るくなれる気がするし
黒髪は強く美しくなれる気がする。
。。。。。。。。。。。。。。。
初めて髪を染めたのは確か高校2年の夏。
その当時は、何も手を加えない髪がどれだけ綺麗で
艶やかなものなのかも知らなかった。
かろうじて校則を意識していたのでとりあえず茶髪にした。
世界が変わった気がした。
大人になれたような、自由になれたような気がした。
髪を染めても勉強はしなくちゃいけないし、テストだってあるのに。
変わるのはただただ髪の色だけなのに。
それ以外は何も変わらないことにいつ気が付いたのだろうか。
そんな高校生活も終わり大学生になったわたしはすぐさま
若いうちにしかできない!と思い、髪の色を金髪にすることを
決意した。
初めて金髪にした時もまた、新たな扉を開いたようだった。
目にかかる髪の毛が金色で見る世界が変わった感じがするし、
鏡に映る自分を見て自分であることに気がつくまでに時間がかかったりもした。
今思うと、金髪が自分の顔に馴染むようになるまでに
何年かかったのだろう。最初はインパクトこそ大きいが、
馴染んでいたのかと聞かれると、どこか芋っぽさが抜けていなかった。
社会人になってようやく美容室やヘアケア用品にそこそこの
お金をかけられるようになって、やっと自分に似合う
絶妙な色味と形を作り出すことができたのではないかと思う。
それが所謂「垢抜け」なのだろうか。
そうやって試行錯誤していたがいつしか飽きっぽい性格のわたしは、
「よし!一旦落ち着いたクールな自分になろう!」などと
思い始め、髪の毛を黒くするのだ。
。。。。。。。。。。。。。。。。。
今となっては、何も手を加えていなかった頃の、
枝毛や切れ毛などのダメージの少なかった髪の毛に戻りたい一心だ。
まち行く女子高生たちの綺麗な髪の毛を見ると見惚れてしまう。
けれどもこの先もきっと髪を染めたい衝動は定期的に
押し寄せてくるだろうから、その時の気分に身を任せ
自分の髪色を楽しもうと思う。
次は金髪かな。。。笑
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